新型コロナの感染拡大によって保存食の需要が高まったこともあり、即席ラーメンなどの袋麺や、スパゲティといった乾麺の売り上げが高い水準で伸びている。
POSデータサービスを運営するマーチャンダイジング・オン(東京都新宿区)は、全国のスーパー、コンビニ、ドラッグストア4500店舗から店頭の売り上げデータを収集している。同社がまとめた8月3〜9日における「RDSスーパー全国データの食品の前年比上位20位カテゴリー」によれば、「インスタント袋麺」は6位(134%)、「スパゲティ」が19位(121%)だった。
一方、緊急事態が宣言された4月6〜13日では、「スパゲティ」が3位(221%)、「インスタント袋麺」が12位(175%)となっていた。
スーパーへの聞き取り調査によれば、「緊急事態の頃に比べれば落ち着いてきたが、売れ筋はそれほど変わっていない」(イオン・西友)という。POSデータと照合すると、今後しばらくコロナ禍の影響が及ぶ限り、袋麺や乾麺が売れる傾向は継続すると考えられる。
コロナが流行するまでは、お湯を入れて3〜5分ほど待つだけで完成するカップ麺や、電子レンジで温めるだけで食べられる冷凍麺に圧倒されて、袋麺や乾麺の存在感が薄れていた。それだけに、潮目の変化を感じざるを得ない。
日本即席食品工業協会の調べ(2019年度)によれば、日本で製造している袋麺とカップ麺を比較すると、袋麺が246銘柄・15億9870万食なのに対して、カップ麺は1315銘柄・39億7021万食となっている。つまり、後発のカップ麺のほうが倍以上の売り上げを誇っていた。
ところが、コロナ禍により形勢が逆転した。
カップ麺や冷凍麺も堅調ではあるが、それ以上に袋麺・乾麺の売り上げが跳ね上がっている。スーパー各社によれば、2月末以降は顧客の消費行動も変化しており、感染を恐れて店舗への訪問回数が減少し、一度に大量に買い込む傾向が出ている。そうなると、かさばるカップ麺より、袋麺や乾麺のほうが多く買えて望ましいのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング