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世界各国で中央銀行デジタル通貨(CBDC)への関心が高まっている。第1回では、CBDCが登場したときに、QRコード決済のPayPayのように利用されるイメージをまとめた。ただし、CBDCが競合するのは決済サービスだけではない。金融の基盤でもある銀行にはどんな影響があるのか。
日銀出身で決済分野を代表する有識者である、麗澤大学経済学部教授の中島真志氏に、CBDCが実現したときのイメージを聞いた。
CBDCは日銀が発行するデジタル通貨だ。スマホにアプリを入れて持ち歩き、現金と同じように、どこでも支払いに使え、誰かに送金することも可能。電子マネーとは違い、日銀が発行するため倒産リスクもない。そのために、民間のスマホ決済とはある種、競合になる場合がある。
同様に、CBDCを銀行口座とも比較してみよう。決済に利用でき、振り込みと同じように送金ができる。しかもいずれも手数料は無料だ。大きな違いは、銀行預金と違い、CBDCには利子が付かないことにある。技術的には利子を付けることも可能だが、銀行預金との差別化もあり、現在計画されている世界各国のCBDCでは、いずれも利子は付けない方向で進んでいる。
「CBDCは現金の代替なので、金利なしというのが基本だ。利子を付けると預金の類似に見えてしまうというデメリットがある」(中島氏)
各国のCBDCのデザイン(中島氏資料より)
いまさら聞けないCBDC 日銀がPayPayの競合になる?
世界各国で急速に動き出したCBDCだが、いったいどういうものなのかが分かりにくい。デジタル通貨といっても、銀行預金はいってみればデジタルだし、クレジットカードや電子マネーもある。CBDCとは一体何なのか。
日銀、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の方針公表 2021年度に実証実験
日本銀行は10月9日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)について取組方針を公表した。現時点ではCBDCを発行する計画はないが、今後の環境変化への対応のため準備が必要だとし、2021年度の早い時期に、技術的に実現可能かを検証する概念実証を行う計画だ。その後、必要と判断されれば、民間事業者や消費者も参加するパイロット実験も視野に入れる。
見えてきた中央銀行デジタル通貨の「想像図」
日本でも中央銀行デジタル通貨(CBDC)をめぐる検討が本格化する。日本政府のいわゆる「骨太の方針」に、「中央銀行デジタル通貨を検討する」と記された。これにより、日本の中央銀行である日本銀行はデジタル通貨検討のチームを結成した。これまで日本銀行はデジタル通貨の発行には慎重な姿勢だったが、今後は変わるかもしれない。
中国デジタル人民元“最新事情”〜当面のライバルはアリペイとWeChat Pay
中国デジタル人民元の最新実証実験が、10月18日に終了した。デジタル通貨分野では他国に1年以上先行する中国が、いち早く舵を切ってきた動機は実は国内事情にある。ここでは世界のデジタル通貨事情とともに、中国の現状と構想を紹介したい。
「暗号通貨」の看板を下ろしたLibraの勝算
国際的な送金・決済ネットワークを目指すLibra協会は、2020年4月に大きなピボット(方針転換)を行った。「暗号通貨」(cryptocurrency)の看板を下ろし、「決済システム」(payment system)となったのである。ローンチはまだ先のことだが、Libraはゆっくり成長して国際的な決済ネットワークの世界のゲームチェンジャーになるかもしれない。
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