いまさら聞けないCBDC(2) CBDCがあれば銀行預金はいらない?(1/4 ページ)

» 2020年11月07日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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 世界各国で中央銀行デジタル通貨(CBDC)への関心が高まっている。第1回では、CBDCが登場したときに、QRコード決済のPayPayのように利用されるイメージをまとめた。ただし、CBDCが競合するのは決済サービスだけではない。金融の基盤でもある銀行にはどんな影響があるのか。

 日銀出身で決済分野を代表する有識者である、麗澤大学経済学部教授の中島真志氏に、CBDCが実現したときのイメージを聞いた。

CBDCとしてお金を持てば、銀行預金は不要になる?

 CBDCは日銀が発行するデジタル通貨だ。スマホにアプリを入れて持ち歩き、現金と同じように、どこでも支払いに使え、誰かに送金することも可能。電子マネーとは違い、日銀が発行するため倒産リスクもない。そのために、民間のスマホ決済とはある種、競合になる場合がある。

 同様に、CBDCを銀行口座とも比較してみよう。決済に利用でき、振り込みと同じように送金ができる。しかもいずれも手数料は無料だ。大きな違いは、銀行預金と違い、CBDCには利子が付かないことにある。技術的には利子を付けることも可能だが、銀行預金との差別化もあり、現在計画されている世界各国のCBDCでは、いずれも利子は付けない方向で進んでいる。

 「CBDCは現金の代替なので、金利なしというのが基本だ。利子を付けると預金の類似に見えてしまうというデメリットがある」(中島氏)

各国のCBDCのデザイン(中島氏資料より)

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