ここ1カ月で価格が急騰した直接的な理由は、中国がデジタル人民元の実証実験に踏み切ったことや、IMF(国際通貨基金)が事実上、デジタル通貨の普及を認める報告書を公表したこと、さらには米大統領選でデジタル通貨に前向きなバイデン氏が優勢だったことなどである。
IMFは2020年10月、デジタル通貨が普及する可能性が高まっており、この動きが加速した場合、民間によるデジタル通貨圏の出現もあり得るとする報告書を公表した。各国の通貨当局は市中銀行を通じて通貨を管理するという従来の制度から極めて大きな経済的、政治的利益を得ている。デジタル通貨が普及すれば、こうした特権の一部を失うという現実を考えると、多くの通貨当局がデジタル通貨に否定的なのは損得勘定としては当然のことだろう。
だが、ビットコインだけでなく、米フェイスブックがリブラの開発を表明するなど、民間主体のデジタル通貨は着実に増加している。しかも中国が先陣を切ってデジタル人民元の実証実験に乗り出した。IMFから一連の状況を認める報告書が出たということは、デジタル通貨の普及はもはや避けて通れないことがハッキリしたことを意味している。
こうしたタイミングでデジタル通貨に前向きなバイデン氏が有利に選挙戦を展開したことから、ビットコインには多くの買いが集まったと考えられる。では、ビットコインの価格高騰は、こうした材料だけに反応した一時的な現象だろうか。
筆者はビットコインはボラティリティ(値動きの幅)が高く、短期的には再度、大幅な下落もあり得ると考えているが、長期的にはまだ価格が上昇する余地があると考えている。
先ほどビットコインは金本位制をベースにデザインされた可能性が高いと述べたが、ビットコインについても金に近い認識を持っている人が多い。発行総量に上限があり、インフレに強いので、うまく活用すれば株式や債券の代替資産となり得るというのがその理由である。
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