どんな状況でもスクショを飛ばしてくる若者がネットで話題となっている。一方的に電話をかけてくる中高年や、逆に電話を極度に嫌がる若者など、ネット上では世代間格差がよく話題となるが、実はこの手の話のほとんどは、世代間格差とは無関係だ。
いつの時代も、相手の状況を理解するという基本スキルに欠けるビジネスパーソンが存在しており、それがツールによって表面化しただけである。状況にかかわらずスクショを飛ばしている若者は、おそらく20年後には、電話に固執する今の中高年と全く同じようになっているだろう。
スマートフォンなどの画面をそのままキャプチャーすることをスクリーンショット(スクショ)と呼ぶが、10代の若者は、Webページを他人に紹介する場合でも、URLを送るのではなく、画面のスクショをそのまま送ってくるケースがほとんどだという。多くが社会人になっている20代でも、結構な割合の人がスクショ派とも言われる。
友達との間で、たわいもない会話をしているのであれば何の問題もないし、仮に業務であっても、その画面を見せれば話が済むというケースではスクショを使えばよいだろう。だが、これが複雑な業務連絡、特に部下から上司に対する報告や、その情報を社内で共有するケースとなると話は変わってくる。連絡を受けた相手は、そのWebサイトを閲覧する可能性が極めて高く、こうした状況ではURLで送るのが妥当である(つまり状況に応じて正しい行動は変わる)。
相手がそのサイトを訪問する場合、スクショではあらためて検索を行って当該サイトを探し出さなければならない。本人は一度、そのサイトを訪問しているわけだから、相手も検索作業を行えば完全に二度手間になる。相手の負荷が大きくなるのはもちろんのこと、最終的にはチーム全体の生産性も低下する。
あるビジネスパーソンは、必要に応じてURLで情報を送るよう部下に何度も指導したが、どうしても是正されないので諦めたという。
こうした話は世代間格差として話題になることが多いのだが、世代間格差として捉えると話の本質を見失う。たいていのケースにおいて、新しいツールや手法(今回はたまたまスクショ)が介在するので世代間格差に見えるだけで、問題の本質は、相手が何を求めているのかを理解するというビジネスパーソンにとって不可欠なスキルの欠如である。
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