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「何でもスクショ」な若者と「いつでも電話」中高年の意外な共通点――日本特有の“使えない人材”とは“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)

» 2020年07月21日 08時00分 公開
[加谷珪一ITmedia]

日本企業のマーケティングにも同じ欠陥が……

 典型的なのは電話に固執する中高年のケースだろう。電話というのは同期的(連絡を取り合う際に、双方が同時にそのツールを使う必要があるもの)な通信手段であり、メールは非同期的な通信手段である。LINEなどのメッセージアプリは同期通信にも非同期通信にもなる。

photo 電話に固執する中高年が少なくない一方「絶対に電話しない」人の問題も(写真はイメージ。提供:ゲッティイメージズ)

 昭和の時代までは、リアルタイムで通信できる手段は電話という同期通信しかなかったため、同期通信が当たり前だっただけであり、通信がいつでも同期的である必要はない。

 今は同期、非同期のツールが複数存在しているので、必要に応じて使い分ければよい。相手の状況を考えずに、いついかなる時でも電話をかけてくる人は、相手の状況を理解する能力に乏しいだけであり、電話そのものに問題があるわけではない。逆に緊急性の高い時や、状況が複雑なやりとりでも絶対に電話を使わないという人も基本的には同じであり、相手に対する配慮に欠ける。

 前者は中高年に多く、後者は若年層に多いが、それは表面的な現象であって、どちらもビジネスパーソンとしての基礎能力が足りないだけである。スクショしか飛ばさない若者も全く同じであり、相手を理解する能力に欠けているからこそ、一方的に自分の都合でスクショを送りつける。彼等は何かのきっかけで自己学習しない限り行動パターンを変えることができないので、やがては、電話に固執する一部の中高年と同じ末路をたどるだろう。

 相手のことを理解できないという問題は実は根深く、日本企業のマーケティングにもマイナスの影響を与えている。日本では「自分がされて嫌なことを相手にしてはいけない」とよく教わるが、この論理は価値観が多様化した現代社会ではまったく通用しない。読者の皆さんは、どこがいけないのがお分かりだろうか。正しい答えは「相手が嫌がることをしてはいけない」である。

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