攻める総務

リーガルテックをフル活用して、“人間にしかできない仕事”に取り組む法務部 太陽誘電の事例「作業は機械、サービスは人」(2/5 ページ)

» 2020年11月16日 07時00分 公開
[BUSINESS LAWYERS]

デジタルな評価を取り入れ、顧客満足度も集計

――企業内で法務部門が果たす役割についてどのようにお考えですか。

佐々木さん: 法律とビジネスをつなぐのが、われわれの役割です。不祥事を起こさず、まっとうにビジネスをやって事業が右肩上がりに成長を続けられることが目的です。基本姿勢として法務担当者は頭でっかちにならず、ビジネスを理解することがすごく大事ですね。

――そのために工夫していることはありますか。

佐々木さん: 各事業部を担当するメンバーを設定し、事業部が毎月やっている会議に参加し、問題のキャッチアップとサポート案を出すようにしています。事業部に対して営業をしているようなものですよね。法務は待っているだけでは絶対に駄目です。

――他に法務部門の特徴があれば教えてください。

佐々木さん: 毎年100〜150人程度の事業部の方から、法務が提供しているサービスについて「ビジネスを理解して助言していますか?」などアンケートを取って顧客満足度調査を実施しています。アンケート結果をもとに、事業部から契約書審査の依頼を受けた場合には5日で戻すという目標設定をしました。

――5日で戻すのは件数が多いと大変そうですね。契約書の審査の件数はどれくらいあるのでしょうか。

佐々木さん: 1人あたり年間で150〜200件ですので、そこまで多くはないですね。法律相談は年間トータルで600件くらいかな。

――契約審査の日数以外にも目標設定の指標を設けているのでしょうか。

佐々木さん: ルーティン業務、プロジェクト、業務改善の3つに指標を設定して担当者の評価をしています。

  • ルーティンワーク:契約書審査、法律相談
  • プロジェクト系:社内プロジェクト、M&A、大型の契約など
  • 業務改善:業務を進化させるための新しい仕組み作り(契約ひな型の作成、マニュアルの作成、システムの試行など)

 ルーティン業務でいえば、担当ごとに契約件数、法律相談の件数と納期をデジタルに集計し、難易度を掛け合わせています。

――そのような取り組みは、佐々木さんが部長になってから始められたのでしょうか。

佐々木さん: そうですね、デジタルに評価したかったんですよ。定性的な評価ってアンフェアじゃないですか。人だから好みもあるし。当社では、定量的な評価が6割、定性評価が4割です。これを作ってから評価に対して不満を言う人はいなくなりましたね。

 マネジャーとメンバーもコミュニケーションを取りやすいですし、マネジメントのサポートツールとして、非常に役立っています。

品質とスピードの両方を追うために導入したリーガルテック

――リーガルテックサービスを積極的に導入されているとのことですが、背景について教えてもらえますか。

佐々木さん: 今は事業のスピードが速く、法的に難しい案件も増えていて、品質とスピードの両方を追っていかなければいけません。

 そこで、スピードを追うためにリーガルテックサービスの導入を進めています。これと並行して、レベルの高い人を採用して品質を高めることを目指しています。

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