攻める総務

リーガルテックをフル活用して、“人間にしかできない仕事”に取り組む法務部 太陽誘電の事例「作業は機械、サービスは人」(5/5 ページ)

» 2020年11月16日 07時00分 公開
[BUSINESS LAWYERS]
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――法務の方で自分たちのパフォーマンスを数値化して利益に貢献することを目指している方はまだまだ少ない印象です。

佐々木さん: 他社のお話を伺っていると、本当に現場に行っていますか? 席にずっと座ってメールと電話だけで仕事してないですか? と聞きたくなる法務の方はいますね。現場に行くのは、すごく大事です。忙しくてなかなか行けないかもしれないですが、テクノロジーを導入して生産性を高め、現場に行く時間を作ってほしいですね。

photo 太陽誘電 佐々木毅尚部長

新時代に求められる法務人材と組織の在り方

――最後にウィズコロナ、アフターコロナ時代の法務の在り方や、テクノロジーに対する期待について伺えますか。

佐々木さん: コロナの影響でいえば、東京一極集中から地方分散型へとライフスタイルも変わっていくでしょうし、働き方も変わりますよね。時差出勤や在宅勤務は当たり前になって、リーガルテックがどんどん導入されていくでしょう。

 もう少し広い視点で見ると、これから5年の間にグローバリズムはすごく変わってくると思います。

 第二次世界大戦後のアメリカ・ソビエトの二極化時代を経て、ソビエトが崩壊したことにより世界はフラット化しました。国境という概念が曖昧になり、FTAで関税がなくなり、製造拠点は世界中に広がりました。今はポピュリズムが台頭してきて、自国優先の時代になってきています。ある意味、自分の国がもうかれば、他の国はどうなっても良いという動きがある。アメリカ、ヨーロッパ、中華圏でブロックを作ってお互い関税をかけあう世界に戻ってしまうかもしれない。こうなると、会社としては、ものづくりの在り方を考えないといけません。

 産業という視点でいえば、5Gになったら通信の在り方が変わります。携帯で予約すれば玄関まで車が自動でやってきて、目的地に行ってくれるような時代になる。そうなったときに、車は個人の趣向の世界じゃなくて、移動手段・サービスになる。産業構造がすごく変わってしまいますよね。今は車の例をお話しましたけど、あらゆる産業が根底から覆るかもしれません。

――そういう時代に法務はどのように変化していくべきでしょうか。

佐々木さん: 新しいビジネスに対応でき、グローバル法務を担える人員を拡充しなければいけません。意思決定の精度を高めるためには、より詳細な情報収集ができる法務機能をつくっていくべきでしょう。

 変化のスピードが速くなるほど、法律による規制が追い付かなくなります。ルールを守るよりもルールをつくることが求められていく気がします。この5年で大きく変わるでしょうね。10年先なんてほんと分からないです。

――この数カ月でも想像できない変化が起きたわけですからね。

佐々木さん: 本当にそうですね。そういう目で先を見ていかないといけないな、と思います。

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