日産自動車が今期から進めている事業構造改革の取り組み状況を公表した。11月12日に発表した2021年3月期通期の連結業績見通しでは、前回予想を上方修正したものの、6150億円の最終赤字を見込む。一方、課題だった米国事業について、内田誠社長は「販売の“質”が大幅に向上している」と強調。下期は新商品投入で攻勢をかけ、来期以降の業績回復につなげたい考えだ。
20年4〜9月期の連結業績は、売上高が前年同期比38.2%減の3兆927億円、営業損益は1588億円の赤字(前年同期は316億円の黒字)だった。第2四半期(7〜9月)は新型コロナウイルスによる販売の落ち込みから回復傾向にあり、固定費の削減なども進めたが、第1四半期の落ち込みをカバーできなかった。純損益は3300億円の赤字(同654億円の黒字)となった。
一方、7月の20年4〜6月期決算説明会で内田社長が「非常に厳しい」と語っていた米国事業については、収益性を高める取り組みが着実に進んでいることを示した。
7〜9月の米国の販売台数は、4〜6月と比べて34.2%増加した一方、利益率が低いレンタカー向けなどのフリート販売の台数は49.2%減少した。4〜9月のフリート比率は、前年同期と比べて20ポイント減少し、特にレンタル向け販売台数は90%も減らした。
その結果、低収益の販売に頼らなくてもよくなり、1台当たりのインセンティブ(販売奨励金)は5%減、1台当たりの販売価格は3%増となった。そして、米国のディーラー平均収益率は2.2ポイント改善したという。
一方、日本市場では米国や中国ほど販売が回復していない。軽自動車では、3月に発売した新型「ルークス」が好調で、9月には販売台数が前年を超えた。一方、登録車は車齢が高いモデルが中心となっていることから、まだ前年並みの回復には至っておらず、苦戦している。
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