先ほど述べた一般的なラーメン屋の例では、配達中にドライバーが事故を起こせばラーメン屋が使用者として責任を負うと述べたが、ウーバーイーツを利用した場合、注文者は本当に使用者責任を負わなければいけないのだろうか。
ウーバーイーツのようなサービスは登場したばかりで争われた例はないが、注文者がこの使用者責任を負う可能性は低いのではないか。この場合、使用者とドライバーとの間で指揮監督関係があったかどうかが判断のポイントとなる。アプリを利用して注文をしただけの注文者にドライバーとの間で指揮監督関係があるとは考えにくいからだ。
ではウーバーイーツは「使用者責任」を負うのだろうか。
冒頭でふれた裁判では、この点が争われると思われる。事故が起こった際の配達業務について、契約関係にあるのはあくまで注文者とドライバーであって、ウーバーイーツとドライバーに雇用関係はないからだ。
しかし、ドライバーは「Uber Eats」というロゴのあるバッグを背負って配達を行うが、いざ事故が起こってしまった際、「その事故にウーバーイーツは関係ないですよ」といえるのだろうか。
冒頭で紹介した記事では「ドライバーに対して、警察による安全運転講習を受講させたり、損害保険に加入させたりしている」とあり、ドライバーに対して一定の監督責任を果たすべく施策を講じているように見える。
またウーバーのWebページによると、ドライバーが事故を起こした場合は、ウーバーイーツが用意している保険の適用を受けることができるとされている(配達中に限る)。従業員ではないものの一定の保証を与えているようだ。
このようなウーバーと配達員の関係は、使用者としての責任がないといえるほど弱いものなのか? かなり無理のある主張に見えるが、ウーバーの作り出したシステムは、これまでにはなかったシステムであるため、裁判所の判断が待たれるところだ。
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