グローバルな往来には、国別の感染状況や受け入れ方針が鍵となるとともに、不安の払拭も大きな課題になるだろう。海外との往来についてのリスク情報は少なく、日本国内での移動とは比にならない漠然とした不安が大きい。
そこで、移動に際してのリスクとクリアすべき課題、日本と世界のコロナ感染対策の状況や違いなどについて、国際保健・医療政策のスペシャリストである、慶應義塾大学 医療政策・管理学教室 特任助教の坂元晴香氏(内科医)に取材した。坂元氏は、厚生労働省国際課に勤務し、日本政府の代表として、WHO(世界保健機関)やJICA(国際協力機構)などとともにグローバルな視点から、感染症対策の行動計画・立案などを行った経歴を持つ。
――日本のこれまでのコロナ対策をどうみている?
高齢化が進み人口密度が高いという、コロナ対策としては不利で難しい状況にもかかわらず、死者数が少なく抑えられている。全体的にみて今のところ成功していると思う。
――日本のコロナ対策の何が成果につながっているか?
国民の意識の高さが大きい。マスクや手洗い、三密回避など、ハイリスクな行動を理解し、守る人が、海外と比較しても多い。また2月という早期に、「三密」という避けるべきハイリスクな環境や行動に注目、誰もが分かる「三密」という言葉で伝え、回避を促した専門者会議の功績は大きいと思う。実は最近になって、ようやく他国では「三密回避」がいわれるようなった。
加えて、在宅勤務の推奨や、業界別に感染対策のガイドラインを設定して徹底するなど、企業の努力も寄与している。企業内でのクラスターの発生は、執務中ではなく休憩室での昼食や飲み会などで発生するケースがほとんど。在宅勤務をすることで、そういった休憩時のリスクも減らすことができる。
――GOTOトラベルも始まりましたが、旅行でのコロナ感染リスクはどうみる?
旅行中かどうかに関わらず、三密を回避することが大事だ。屋外の離れたところですれ違う程度は問題ないし、バスや飛行機も換気がきちんとされており、マスクをしていれば、よほど大声で話さない限り感染リスクは高くはならない。(ガイドブックやSNSで人気のある定番の旅から、時間や場所、移動手段、方法などをずらす)ずらし旅なども言われているが、人を分散させることで、リスクはさらに下がる。
温泉も、入ることそのものからの感染(お湯からの感染)は少ないと考えているが、脱衣所などではマスクを外すこともあり、大声での会話を控えるなど、注意が必要だ。
旅行でリスクが高まるとすれば、気のゆるみから三密回避を忘れてしまいがちであること。これは各人が気を付けて徹底するしかない。
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