10月にGoToトラベルキャンペーンの対象に東京が加わり、観光業も活気を取り戻しつつあるようにも見えた。
一方で北海道をはじめコロナの感染拡大もあり、ウィズコロナの旅は先行きが見えない。11月19日、全国の新規感染者数は2300人を超え、過去最多を更新した。加藤勝信官房長官は、「GoToトラベル」事業に参加登録した宿泊施設の従業員のうち、11月17日までに新型コロナの感染が確認されたのは144人だったことを明らかにしている。
そんな中、観光業では、『ポストGoToトラベル』が大きな課題になっている。GoToトラベルキャンペーンは2021年1月末までの実施予定で、延期の話も上がっているものの、いつかは終わるからだ。
過去に実施した「ふっこう割」がそうであったように、GoToトラベル終了後は、国内の旅行需要が落ち込むことが予想される。
問題はその時に「訪日旅行者が戻ってきているのかどうか?」「戻ってきていなくても、先が見通せる状況かどうか?」だ。それによって観光業復興への道筋、生き残れるかどうかは大きく変わる。特に開催が来年へ延期となった東京五輪の行方は、訪日旅行者の受け入れへも影響が大きい。
菅義偉首相は11月16日に、来日中の国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と30分間会談し、新型コロナウイルスの影響で21年夏に延期した東京五輪の開催実現を確認した。観客の受け入れや感染防止対策が国内観光業には求められることになりそうだ。
そんな中、10月30日から11月1日まで、横浜スタジアムでは、五輪開催もにらんだ大型イベントの実証実験が実施された。現在は収容人数(約3万2000人分)の50%を上限として席を販売しているものの、30日には80%、31日は90%、11月1日は満席へと段階的に引き上げ、感染防止対策などの実験や有効性の確認をするというものだった。
ただ、蓋をあければ観客数は30日には約50%(目標80%)、31日は約76%(目標90%)、11月1日には約86%(目標100%)という結果で目標に届かず、コロナへの不安がまだまだ大きいことを物語ることにもなった。
都内ホテルのスタッフからは「五輪は開催してもらわないと仕事上は困る。ただ個人的には、不安は大きいし、本当にするのか? できるのか? という思いが強い」という声が聞かれる。海外では感染が拡大しロックダウンを再び行う国もあり、海外からの訪問者を歓迎するのは、なかなか難しい状況だ。訪日旅行が解禁となれば、観光業の従事者だけではなく、一般の人々にもかかわってくる。越えなければいけないハードルは高そうだ。
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