「我慢の3連休」だったのに、なぜ人は「経済」を優先したのかスピン経済の歩き方(4/5 ページ)

» 2020年11月24日 09時40分 公開
[窪田順生ITmedia]

経済活動を止めれば、大変なことに

 ワクチンがあって、予防啓発がなされていても残念ながら毎年、日本のコロナ患者13万人を遥かに上回る1000万人もの感染者が出る。そして、高齢者などが重症化してこれだけの人が亡くなっているのだ。そのような意味では、インフルエンザは非常に恐ろしい感染症だ。

 しかし、われわれはインフルエンザのために経済活動を止めてこなかった。3575人の命や医療従事者の負担を軽視してきたのではなく、経済活動を止めることで、もっと多くの人たちが「経済死」をしてしまうからである。

 新型コロナも基本的には変わらない。米国やブラジル、欧州のように万単位の膨大な数の死者が出ている状況ならば、経済活動をストップしてでも感染拡大を食い止めるという選択は分かるが、日本は2000人とインフルエンザ以下だ。

 医療崩壊が心配だというのは、もちろんよく分かる。この3連休の人出を見て「2週間後にどんな恐ろしいことになるのか分かっているのか!」と恐怖で震えている方も少なくないだろう。

 しかし、既に過剰な自粛によって、失業者が増えたり収入が減少したりして、貧しい人たちの「生活崩壊」が起きている可能性が高い。10月の自殺者急増はそれを示唆しているのだ。コロナ鬱(うつ)も増えている。

 秋田大学が8月28日に発表したアンケート調査報告「全国緊急事態宣言による自粛が及ぼす大学生のこころとからだへの影響」によれば、回答した学生のなんと1割以上に中等度以上のうつ症状が見られたという。また、大阪府が医療従事者1200人を対象に調査したところ、1割超が「鬱症状を有する」という。

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