LINEで“濃い”関係づくり、売り上げ1.3倍に コメ兵が見据える中古品ビジネスの将来像「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(2/4 ページ)

» 2020年11月25日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 「オンライン買い取り、オンライン販売、店頭買い取り、店頭販売の4つのチャネルを用意しているが、複数のチャネルをまたいで利用していただくと、お客さまのLTVが向上することが分かった」(藤原氏)

 LTVは、1人の顧客が生涯のうちにどれだけ自社のサービスを利用するか、という指標。オンラインサービスや店舗での接客など、複数のサービスに触れるほど企業への愛着がわく。そういったデータがあるからこそ、オムニチャネルを推進しているのだ。藤原氏は「デジタル化が目的ではない。あくまでLTVを高める手段だ」と話す。

オンラインとオフライン、複数のチャネルを利用すると顧客のLTVが高まることが分かった

コロナ禍で「LINE接客」強化、店員の平均売り上げ1.3倍に

 同社ではこの考え方を浸透させてきたことから、新型コロナの影響が出た後も、オンラインの基盤を活用しながら顧客との関係を深める取り組みを進めてきた。LINEやWeb会議ツールでの接客や個別訪問を実施したほか、店舗休業中も顧客の都合に合わせて店を開けることもあった。「デジタルだけで完結するのが難しいビジネスだが、なるべく接触する時間を短くした」(藤原氏)という。

 その中でも特に効果を発揮しているのが「LINE接客」だ。店舗担当者にスマートフォンを渡し、自由に顧客との連絡に使えるようにしている。以前から試験運用していたが、新型コロナ感染拡大の直前に本格的に開始。LINE接客を実践した店員1人当たりの平均売り上げは1.3倍に増えた。現在、全国の店舗の約100人にスマホを渡している。

 LINE接客のやり方にはルールを定めず、やりとりする客の人数や連絡の頻度、内容などは個々に任せている。それぞれの顧客の性格やニーズを最もよく知っているのは担当者だからだ。そのため、店員によってやり方はさまざま。商品の情報提供や提案だけでなく、自分の出勤日を連絡したり、雑談に応じたりといった使い方をしている人が多いという。

 実店舗で接客する業種の場合、自分の担当する顧客がいても、客が店に来られない状況が続けば疎遠になってしまうが、LINEを使えばリアルと変わらず関係を深めることができる。「お客さまの信頼を得て仲良くなることを重視している」と藤原氏は話す。

LINE接客を活用し、顧客と出勤予定などをやりとりしている

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.