特集
» 2020年11月25日 07時00分 公開

「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵:LINEで“濃い”関係づくり、売り上げ1.3倍に コメ兵が見据える中古品ビジネスの将来像 (1/4)

中古ブランド品売買のコメ兵は、オンラインとリアルの接客を組み合わせたサービスを強化している。コロナ禍では「LINE接客」を活用し、店員1人当たりの平均売り上げが1.3倍に伸びた。デジタル活用の目的は“非接触”だけではない。顧客との“濃い”関係づくりだ。

[加納由希絵,ITmedia]

「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵:

 「人が集まる」「人に直接会う」ことで稼いできた企業が、新型コロナを契機に自社戦略の見直しを迫られている。どのようにして「脱・3密」や「非接触」を実現し、ビジネスチャンスを生み出そうとしているのか。

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 お客さんとの関係構築が難しくなった――。新型コロナウイルス感染拡大の影響でそう感じている人が少なくないのではないだろうか。対面接客の機会が減り、“非接触”のオンラインツールなどを活用する事例が増えているが、まだ手探り状態だという企業も多いだろう。

 そんな中、オンラインツールを効果的に導入し、デジタルとリアルを融合させる取り組みを加速させている企業もある。中古ブランド品売買の老舗企業、コメ兵だ。高額な品を査定して買い取り、購入する人に納得してもらった上で販売する。十分なコミュニケーションが必要な業種でもある。

 コメ兵は2010年から、オンラインとオフラインを融合させたオムニチャネルを推進。ECサイトやLINEなどを活用した取り組みを進めてきた。そして、新型コロナ感染拡大によって来店客が大きく減った今、積み重ねてきたデジタル施策が顧客との関係づくりに役立っているという。

コメ兵はLINE接客などで顧客との関係を強化。写真は名古屋本店(名古屋市中区)

「LINE査定」は年間23万件のサービスに

 名古屋・大須に本店を構えるコメ兵は、全国に49店舗を展開する(10月末時点)。名古屋のほか、東京・銀座、大阪・梅田などに大型店を構え、宝石・貴金属、時計、バッグなどの販売と買い取りを行う。他の主要都市でも中型店や小型店を展開している。

 顧客から品物を買い取って、それを物流センターに集めてメンテナンスし、店頭やECで他の顧客に販売する。C2B2Cのビジネスモデルだ。いわゆる“非接触”サービスの歴史も長く、衣料の宅配買い取りは1988年に開始。ECサイトは2000年に立ち上げた。07年ごろからはECと店舗の在庫を一元化。また、高額の中古品を安心して購入できるように、ネットで商品を選んで購入予約をした上で、店舗に実物を見に来てもらうサービスも実施している。

 16年には「LINE」を使って買い取り金額を査定するサービスを導入。コメ兵の公式LINEアカウントに品物の写真を送るだけで、査定金額の目安を知ることができるサービスだ。気軽に利用できる仕組みによって、買い取りのハードルを下げた。現在、LINE査定の年間件数は約23万件に上るという。

 こういった取り組みを通して、一つ明らかになったことがある。同社執行役員マーケティング統括部長の藤原義昭氏は「Life Time Value(LTV、顧客生涯価値)」という言葉を用いて説明する。

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