攻める総務

総務よ、安易に「オフライン回帰」を許すべからず 今、総務に求められる態度とは?「総務」から会社を変える(1/3 ページ)

» 2020年12月02日 05時00分 公開
[豊田健一ITmedia]

 冬を迎え、新型コロナウイルスの感染が再々拡大し、夏場の第2波に続いて第3波が到来している。コロナ禍を巡っては、ある種「強制的」な在宅勤務が広がっており、以前よりチャットやWeb会議を導入・実践していた企業は問題なくコミュニケーションが取れたのだが、不慣れな企業や今回を機に初めて導入した企業は、コミュニケーションの課題が山積したようだ。

 社内会議もイベントも、手探り状態の中リモートでの実施。定例の報告会議は何となく対処もできようが、内定式や新人研修、株主総会をリモートで実施するのは少々ハードルが高かったようだ。「雑談が減った」とか、「気軽に質問ができない」「1日誰とも話さなかった」などなど、さまざまな声を聞く。コミュニケーション不足が影響して、一部では従業員がメンタル不全に陥るなどの問題もあったようだ。

 社内だけでなく社外との会議、営業活動などもリモートで行うことが頻繁にされている。こちらも、もともとやりとりがあった取引先などであればよいが、初めての打ち合わせでは、なかなかリモートだとやりづらいこともある。中にはいったんビジネスを止め、「落ち着いたらリアルで会いましょう」というような約束をした方も多かったのではないだろうか。

オンライン化で表面化したさまざまな課題だが……(出所:ゲッティイメージズ)

 多くの人がそんな経験をしながら、ある程度リモートに慣れたところで、フルリモート勤務は解除し、出社率を上げる機運も高まってきている。多くの企業は、週1〜2日の在宅勤務を軸としているようだが、企業によっては、ビフォーコロナの時代に後戻りして、「原則出社」としたところもあるようだ。

 そこで出てきた現象が、オフラインでの会議、オフラインでの接客への「回帰」だ。つまり、なかなか慣れないリモート会議を中心としたビジネスのオンラインシフトを諦め、リアルの場へと回帰する企業が出ているのである。筆者としては、オンラインを使い倒すことなく、リアルへと回帰してしまうは、実にもったいないと感じる。確かに、リアルの方が優れている点はある。だが「楽な方」という理由で、リモートを使い倒さずしてリアルを優先するのは、デジタルトランスフォーメーションが一種のバズワードと化している今、非常に残念な現象だと思う。

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