コロナ禍以前、働き方改革のテーマはつまるところ「生産性の向上」だった。よくある働き方改革の結果である「時間短縮」だけでは生産性の向上は実現できず、限られた時間の中で目の前の仕事をいかに手際よく行うか、総務も頭を悩ませていたことだろう。
この働き方改革が本格化する前からホットなテーマとなっていたのが「健康経営」だった。「ホワイト500」「健康経営銘柄」などいろいろな認証制度もできた。こうした制度の認証があると求職者の間で「政府お墨付きのホワイト企業である」という認知も広がる。そうして急速に広まった概念である。
健康経営も、働き方改革と同じく「生産性の向上」だということは意外と知られていないのではないか。働き方という側面から生産性の向上を目指したものが働き方改革であり、従業員の健康維持、増進という観点から生産性の向上を目指したものが健康経営で、どちらも目指すべきものは一緒なのである。単に従業員の健康を保全することが健康経営なのではない。さらに言えば、働き方改革と健康経営は、車の両輪。どちらもうまく回って意味を成す、というものでもある。
「CHO」(チーフ・ハピネス・オフィサー)という言葉を聞いたことがあるだろうか。外資系企業を中心に設置され始めている役職で、従業員の幸福感醸成の最高責任者である。なぜ、ここで「幸福」を持ち出したのか、疑問の読者もいるだろう。先の働き方改革、健康経営に続いて、生産性の向上を目指すためには、従業員の幸福感を向上させるのも一つの方法なのである。
ある米国の調査では、幸福感を感じて働いている人は、そうでない人と比較して、生産性が31%高く、売上に換算すると37%も高く、創造性に至っては3倍ほど高い、という結果が出ているそうだ。
では、幸福経営を実現するには、何が必要なのか。
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