Web会議システムがもたらすのは、会議の効率化や活発化だけではない。例えば社内イベント、特に社内表彰などをWeb会議システムで行えば、表彰のタイミングで、表彰者に対して、社員がメッセージを発信できる。これまでやっていたような、オフラインで行う表彰式のような場では、できない演出だ。そのメッセージを表彰者、イベント参加者が見て、感動を深めていく――そんなことも期待できる。
筆者は仕事柄、講演をすることが多い。従来のオフラインで行う講演では、日本人は奥ゆかしいということもあるのか、ほとんど質問や意見は出なかった。しかし、ウェビナーとなるとかなり変わってくる。他人の目を気にすることなく、また、キーボードを打ち込めばすぐにメッセージが投げかけられるので、最近では数多くの意見や質問が寄せられるようになった。目立つことを好まない日本人にとっては、発言の場として、このチャット機能は大変親和性があるように思う。
Web会議システムでは、おのおのが自由に発言できるのがメリットであるが、裏を返せば、発言しているところに被せて発言することは、マナーとして好ましくない。そのためどこで発言を差し込むか、というタイミングの取り方が難しい。筆者もリモートで数多くの取材をしてきたが、コツは、相手の話し方の特徴を短時間で見極めることだといえる。また、話している内容から、「ここで終わるだろう」という直前に、発言を差し込むのだ。そうすることで、リモートでもテンポよく会話を進められるだろう。
このように、Web会議システムには便利な点が数多く存在する。慣れていないと、最小限の機能のみ使い、その場をやり過ごすことになりがちである。もっと、好奇心を持って、いろいろな機能を使い倒してみることが、特に、総務にとっては必要な姿勢であると筆者は考える。
現場の仕事の効率化を支援する総務としては、自ら、いろいろな機能を試し、その使い方と、使うことのメリットを社内に告知する役目があるはずだ。そして、あらゆる機能を使い倒し、その上で、やはりリアルの場のほうが優れているものは何なのか、それも含めて、社内に告知していく――こうした態度が望ましい。
どちらが良い・悪いではなく、どのようなケースだとどちらが優れており、こちらを使いましょう、そんな具体的なビジネスのシーンに照らし合わせて説明していく。総務で必要な姿勢は、食わず嫌いはあり得ず、一度食べたら、骨までしゃぶる、そんな姿勢である。
株式会社月刊総務 代表取締役社長 『月刊総務』編集長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、『月刊総務』の編集長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
著書に、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)、『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)
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