まるでYouTuber? 就活生のために「@cosme」運営元が“放送局”を立ち上げた理由新卒採用(3/3 ページ)

» 2020年12月03日 07時00分 公開
[人事実務]
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 8月のアイスタイル放送局立ち上げからこれまでを振り返り、原尾氏はこう述べる。

 「こうした取り組みで、本当に学生の注目を集められるか、当初は不安もありました。しかし、スタートしてから約1カ月ほどの間に200〜300人ほどに視聴いただけたことで、大きな手応えを感じました。また、単に集客だけでなく、就活データベースに就活生の情報を蓄積することが重要だと考えていましたが、この点についても順調です。すでに視聴者の約7割がリピーターとなっています。番組終了後に次の番組に参加したい就活生から予約が入るのですが、その反応にも勢いがあります。私たちが思っている以上に大きな効果が出ているのではないでしょうか」

 入社後のミスマッチ防止にもアイスタイル放送局は役立つとみている。

 「アイスタイル放送局によって就活生に向けて発信している情報の量は格段に増えているので、コロナ禍以前よりも現在のほうが、就活生の皆さんに情報を知ってもらえているのではないかと思います。その結果、これまでよりミスマッチを減らすことにつながるのではないかと期待しています。直接コミュニケーションを取ることで関係性を深められるのは確かですが、オンラインには、いつでも見にいけるというオンラインならではのメリットがあります。そして、リアルの説明会では後回しにしてしまっていたちょっとした情報も伝えることができるというのもメリットです。そのようにして、当社の特徴を全体像からディティールに至るまで知ってもらい、それによって立体的なイメージをもってもらうことを目標に取り組みを続けていきたいと考えています」

 今後、アイスタイルは、アイスタイル放送局による情報発信と就活生との関係づくりを採用活動の柱にしていきたい考えだ。「自社や業界への理解を促進し、関心を高められる。それにより、求める人材を育て上げられる」「エントリー見込み者の裾野を広げられる」といったメリットが得られると、大いに期待しているということだ。

 自社にとって最適な活動の在り方を重視している点は、アイスタイルの採用活動の特徴だといえるだろう。例えば「いま力を入れるべきはインターンシップよりも、アイスタイル放送局」と原尾氏はみている。

 「会社の知名度がそれほど高くない現状では、インターンシップを実施しても十分な効果が得られないと考えています。求める人材を集め切れなかったり、思うように育て上げることができない、ということです。ですから現時点では、まずは就活生の興味・関心を引き、認知度向上を図ることを第一として、アイスタイルを柱に情報発信に力を入れているところです」

 企業を取り巻く環境が不確実性を増すなか、アイスタイルは柔軟な発想と弾力的なアプローチで採用活動に取り組んでいる。魅力ある企業をめざす同社の今後の取り組みに注目したい。

(2020年9月23日オンライン取材・文 外崎航)

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 本記事は『人事実務』(2020年11月号)特集「たがいに理解しあう採用活動」より「事例2 アイスタイル」を一部抜粋、要約して掲載したものです。

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