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» 2020年12月05日 07時51分 公開

モーニング娘。を起用:なぜ石川県の加賀温泉郷に人が集まるのか 「ファンづくり」の裏側 (1/6)

新型コロナの感染拡大を受けて、多くの観光地が苦しんでいる。Go To トラベルによって人出が戻りつつある中、週末には多くの観光客でにぎわっているところがある。石川県の加賀温泉郷だ。なぜこの温泉地に人が集まっているのかというと……。

[後藤香織,ITmedia]

 新型コロナウイルスの影響で打撃を受ける旅行業界。その中で今、独自の取り組みを行っているのが加賀温泉郷(石川県)だ。

 加賀市にある片山津・山代・山中の3温泉を総称したものを「加賀温泉郷」と呼んでおり(小松市の粟津温泉が加わることもある)、年間約179万人が訪れている。GO TO トラベルキャンペーンの影響はあるものの、現在、週末には多くの旅館で予約が埋まっているという。多くの観光地が苦戦している中、なぜ加賀温泉郷に人は集まるのか。その背景に、2018年の春から2年以上、SNS発のプロモーションを続けてきて、県内外から「こういうときだからこそ、加賀温泉郷にお金を使いたい」という根強いファンを獲得してきたことがある。

 加賀温泉郷は18年春から観光大使として、モーニング娘。メンバーの加賀楓さんを起用している。18〜19年は加賀温泉郷協議会からの任命を受けていたが、20年からは加賀市からの任命を受け、加賀市にある3つの温泉の観光大使となった。実は加賀さんは石川県が地元というわけではなく、名字が「加賀」という不思議な縁から観光大使を務めている。そのきっかけは、モーニング娘。ファンがSNSで盛り上がったところにあった。

加賀温泉駅には加賀さんのポスターが多数掲示されている

 11年から10年以上にわたって加賀温泉郷の広告プロモーションを手がける、株式会社REACH(東京都港区)代表でクリエイティブディレクターの大久保浩秀氏に話を聞いた。

 はじまりは、17年秋、加賀温泉郷が例年11月末〜12月ごろにJR東日本の駅に掲示している「その疲れに加賀が効く。」というコピーが添えられたポスターだった。

発端となったSNSに投稿された恵比寿駅のポスター画像(ファン撮影)

 「このポスターが加賀さんだったらいいのに……という投稿がTwitterを中心に多く寄せられて。それを発見した僕が『次回の加賀温泉郷ポスターに加賀楓さん出てくれないかな』と投稿したらファンの方が食いついてきて、そこから加賀さんの写真を使ってこの『その疲れに加賀が効く。』のポスターを作ってみた画像なども出てきて、かなり盛り上がったことがきっかけです」

 ファンの間での盛り上がりを受け、公式に加賀さん本人を広告キャラクターとして起用したいと所属事務所に打診するときも、「怒られるんじゃないか」と恐る恐る行ったという。加えてきっかけとなったポスターも、実は旅館の従業員をモデルとして使っていたほど、そこまで予算があるプロジェクトではなかった。しかしモーニング娘。の所属事務所であるアップフロントグループは、もともと「SATOYAMA&SATOUMI movement」と名付けた地方創生プロジェクトに力を入れていることもあり、その流れで正式に18年春、加賀さんが観光大使になることが決定した。

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