なぜ石川県の加賀温泉郷に人が集まるのか 「ファンづくり」の裏側モーニング娘。を起用(5/6 ページ)

» 2020年12月05日 07時51分 公開
[後藤香織ITmedia]

「SNS発」プロモーションの循環

 SNSから始まったこのプロモーションの中で、この日初めて加賀さんとファンが加賀の地で邂逅(かいこう)することとなり、県内外から何百人ものファンが詰めかけた。会場には長蛇の列ができ、加賀温泉郷の旅館はほぼ満室となっていた。

(画像提供:REACH)

 そんな「SNS発」プロモーションの循環は続き、加賀温泉郷側が呼びかけた企画にはファンは必ず反応し、それのみならずファンの中から発生している働きかけも多数発生している。

 例えば、首都圏のJR各駅にポスターが貼り出された際は、どの駅のどこに貼られているかを「ハロー!プロジェクト」からもじり「#貼ろうプロジェクト」というタグをつけて投稿することを温泉郷側が提案し、それに応じたファンが掲示されているすべての駅をまわり、詳細な位置の一覧やマップなどが作られた。

 モーニング娘。ファンのイラストレーター、こもりあやみさんは自作で加賀温泉郷の良さやお店を紹介するイラストマップを作成したりと、さまざまな取り組みをしている。

 過去に仙台市でも同様のイラストマップを制作したというこもりさんに話を聞くと「『東京拠点のアイドルと地方観光』という視点でもっと作品を増やしたいと思っていたところ『#加賀四湯博2019』の際にファンの方が何やら盛り上がっていると加賀温泉郷が目にとまりました。その時点でキャンペーンについてはそこまで詳しくなかったのですが、『なんだか楽しそう』という空気感が取材の引力に。

(画像提供:REACH)

 宣伝ポスターや等身大パネルを撮影しているのがすごくインパクトがあり、季節ごとにどんどん新しいポスターが出て、それにファンが反応して……。そこでイラストマップを作ってみたら飲食店の方がお店に掲示してくださってありがたかったです」と、現地飲食店とファンの信頼関係も見られた。

 飲食店の方など、地元の方と話をした際は「キャンペーンがきっかけでファンの方が何回も訪れてくれるのが本当にありがたい」「加賀温泉でこういった有名人を起用したキャンペーンは、女優の樋口可南子さんが山中温泉の観光ポスターモデルをして以来約30年ぶり」と喜びの声が多数あったようだ。さらにこれをきっかけに飲食店の方がハロー!プロジェクトやモーニング娘。のコンサートを見に行くという相互交流も生まれているという。

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