大久保氏はこの「キーホルダーを何かと撮って、SNSにアップして楽しむ」という文化に目をつけ、加賀温泉郷オリジナルデザインのキーホルダーを発売する際は、対象を指差すポーズのものを複数回登場させ、案外「これまでになかった」とファンの間で好評を博した。
ほかにも「写真を撮って、SNSで共有したくなる」仕組みが多数ある。加賀温泉駅にはたくさんのポスターが貼られ、各温泉地には等身大パネルが置かれている。もちろん加賀さんがパンフレットの撮影を行った地をめぐる「聖地巡礼」もファンの間では頻繁に行われている。これらは過去にポスターに使われたキャッチコピーから「#加賀は引力」というハッシュタグを使用し、多数の写真がアップされている。
さらに奇しくも「赤瓦」が有名な加賀市も、モーニング娘。における加賀さんも、双方のイメージカラーが赤ということで、Tシャツやトートバッグなど「赤」を取り入れたグッズを多数制作し、これも売り切れが相次いだ。
どこまでもファン心理に寄り添いながら「基本的なビジュアルなどはモーニング娘。や加賀さんを知らない人が見ても成立するものにしています」とバランスを取って制作している。しかし、ここまでアイドルファン文化に寄り添うプロモーションを展開するにあたり、温泉郷の人たちは、抵抗感を示さなかったのだろうか。
「2012年から『加賀温泉郷フェス』という、温泉と音楽の融合をテーマに行うフェスを行なっていることもあり、いわゆるサブカルやアイドル的なものにも抵抗がなく、今回のプロモーションについても完全に任せてもらっています。それに加えて加賀の方はおおらかな方が多く、経営者が代替わりをして若い方が多いこともあり、少々突飛でも面白いことを受け入れてくれる傾向にあります。
僕が担当したものではありませんが、北陸新幹線関連のプロモーションで『加賀停太郎』という絶妙なおふざけ感がある動画があったり、山代温泉観光協会は『山代ゆげ太郎』というおじさんをPRキャラクターにしていたりと、結構ゆるくて面白いものが多いんですよ」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング