「人が集まる」「人に直接会う」ことで稼いできた企業が、新型コロナを契機に自社戦略の見直しを迫られている。どのようにして「脱・3密」や「非接触」を実現し、ビジネスチャンスを生み出そうとしているのか。
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コロナ禍はさまざまな産業に大きな影響を与えた。飲食や旅行、レジャー産業への打撃は大きいが、必ずしも売り上げが急減したわけではない企業にも影響がある。資金調達面だ。
「影響のあった会社は、コロナ融資や補助金などで財務的な影響を先延ばしできた。しかし、ベンチャー企業は資金難になりそうな会社が多い」。そう話すのは、個人がベンチャー企業に投資するための株式投資型クラウドファンディングサービスを提供するイークラウドの波多江直彦社長だ。
ベンチャー企業の多くが「半年以内に資金不足に陥る」と、ある調査に回答しているが、そのうちの6割は政府の支援策を利用していないという。これは中小企業を念頭においた制度であり、投資が先行するベンチャー企業の資金ニーズに合致していないためだ。
例えば銀行は、コロナ関連の制度で決まった融資は出しているが、その対応で多忙を極めている。コロナ禍で存続の危機にある企業への融資が中心となり、ベンチャー企業の「成長のためのマネー」は優先度が下がってしまった。
ベンチャー企業に出資するベンチャーキャピタル(VC)もコロナの影響を受けた。「コロナ直後は株価が暴落したので、エグジット(上場や事業売却)が見えなくなった。予定していた上場が中止になった会社も多かった」(波多江氏)ことから、一時的に動きが止まった。
企業が運営するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)は、さらに状況が厳しい。国内のVCの3分の1はCVCだといわれているが、「コロナで本業に影響を受けているところは、お金を出しにくくなっている。4月には、9割が出資を減らすと表明した」(波多江氏)という。
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