コロナの中オンラインで資金調達 個人の投資がベンチャー支える(3/3 ページ)

» 2020年12月09日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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リターンしか見ない投資から、マインドが変わり始めている

 急速な成長を期待できない企業に投資するのはどんな投資家なのか。「その企業のファンとなる投資家だ」と波多江氏は言う。

 コロナ禍で命の危機を感じ、経営者も投資家もマインドが変わり始めている。SDGsやESGなどは、大上段に構えられた遠いものだと思っていた人が多かったが、コロナ禍を受けて、世の中のためにならなければいけないと考える経営者や投資家が増えたというのだ。

 こうした動きを受けて、その企業や製品のファンとして取り組む個人のベンチャー投資が増えている。「上場企業に投資しても距離感が遠い。小さな会社なら仲間意識、応援意識を持てる。地下アイドルのファンのように、『俺がこの会社を大きくしたんだ』という思いを持てる」(波多江氏)

投資した株主宛に地元カンパニー社長が送ったメッセージ。距離感の近さが魅力の1つとなっている

 コロナ禍で顕在化した企業の資金調達の課題。個人の投資家は、世の中に貢献したいと考えるベンチャー企業を救えるかどうか。未上場株への投資を行うクラウドファンディングは2017年に始まったばかりだ。出資金の全額が所得控除となるエンジェル税制などの優遇もあるが、企業が調達できる資金は年1億円まで、投資家は1社あたり年50万円以下などの制約もある。

 日本初の株式投資型クラウドファンディング事業者である日本クラウドキャピタルの「FUNDINNO」では、既に126件のプロジェクトが実施され、累計調達額は41億円を超えている。イークラウドでも2つ目のプロジェクトが成功し、12月中に2つのプロジェクトが予定されている。

 株式投資型クラウドファンディングのような新たな資金調達方法が根付けば、今後、多様な企業が事業を展開できるようになっていくだろう。

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