コロナ禍で志願者は月3000人 応募殺到のアイリスオーヤマ中途採用担当に聞く「こんな人材は採ってはいけない」成果を挙げた社員に300万円の賞与(2/3 ページ)

» 2020年12月10日 16時26分 公開
[中西享ITmedia]

成果を挙げた人には300万円の賞与

――開発担当で活躍する人の共通項は何か。

 適応するのが早い人ではないか。アイリスでは企画からマーケティングまで一貫して行うスピード感に順応できる人材が求められる。幅広い分野で仕事をやりたい人かどうかも面接で見極めている。

――大手家電から中途入社した人からすると、給与面では下がることになり、その部分での不満はないか。

 前職の賃金をスライドさせ、さらに手を加えている面もあるので、不満はないと思う。

――アイリスの賃金体系はどうなっているのか。

 給与に年功部分はまったくなく、成果に見合った等級で決まる仕組みだ。このため、実力がつかなければ、新入社員から20年間同じ給与ということも理論上はあり得る。いま広がってきている「ジョブ制」とも異なる。

――その成果はどうやって決まるのか。

 成果は、上司、同僚、後輩、部下、関係部署も含めた人による「360度評価」、仕事の実績、上司の評価の3つの指標で決まる。「360度評価」は年に1回実施される。全社員に対し、等級別に行われ、ほかの人の順位は分からないが、自分の順位だけは分かる。自分でも評価するので、自分の評価と他人の評価が違った場合には、あらためて自分を見つめ直すことになる。

――どこの企業も中途社員はなかなか生かせないことが多い。大手から中堅・中小企業に転職した場合は適応できない人が多くいるなかで、アイリスでは中途社員をうまく適応させ生かしている。その制度上のノウハウは何か。

 2つある。1つは研修制度上のフォローアップだ。中途で入社した「キャリア新入社員」は、入社したら企業理念、アイリスのルール、社風についてしっかりと研修を受ける。これによって目標が明確になる。また(アイリスの商品についての会議である)プレゼン会議にも多く出席することで、会社の方向性が分かる。

 また毎年2月には等級別の研修があり、事前に経営者から出された課題についてA4で2枚の論文に取り組む。もう1つが先に話した正確な人事評価制度で、この二つの制度が両輪となり、中途入社の人もやる気が出ているのではないか。

 大きな成果を挙げた人には、200万〜300万円の賞与が与えられる制度があり、励みの材料になっている。

――アイリスの社長、会長は以前から、若手社員を食事に誘ったり声掛けをしたりすることが多いと聞いているが、佐藤さんの場合はどうか。

 会社に入って間もないころに、今の社長から声をかけてもらったりして、会社のトップの目が届くところで働いているのだという思いになり、モチベーションにはなった。仕事をしていて歯車感を感じない。

phot 大きな成果を挙げた人には、200万〜300万円の賞与が与えられる(写真提供:ゲッティイメージズ)

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