ポイント付与事業が、グルメサイトをツールとして使ったことに対しては「グルメサイトをもうけさせただけだ」との批判も多い。しかし、ぐるなびの21年3月期第2四半期(4〜9月)の売上高は前年同期比61.6%減の58億2400万円で、営業損失は49億3900万円だ。ぐるなびに限らず、各グルメサイトもまた、飲食店の利用者が減って苦しくなっていた。
サイト掲載料などを取られるのを嫌い、“脱グルメサイト”を進めていたチェーンにも言い分があるだろう。また、ポイントが欲しいだけの強欲な顧客に300円程度の飲食をさせるために、送客手数料を200円払っていたら、損にしかならない。しかし、そこを工夫してもうかるように設定を組み直せば、問題なかったのではないだろうか。
前出のテーブルチェックの調査によれば、飲食店の64.9%が「ポイント付与をもっと継続してほしかった」と回答。また、グルメサイトについて「月額を支払って今後も利用を継続する」と回答した事業者も65.6%いた。
しかし、トリキの錬金術だけでなく、夜に1000円で飲食をして1000円分のポイントをもらうのを繰り返す「無限ループ」など、次々とシステムの不備を突く裏技が出てきたのは事実だ。
トリキの錬金術は、コース料理を設定して、低価格では利用できないように改善された。無限ループのほうは、ポイント付与が間もなく終了する時点で9割が使われていなかったことから推測するに、実際に実行する人があまりいなかったのだろう。飲食してから2週間以上経過しないとポイントが付与されないサイトもあり、即予約とならなかった点が大きい。
一方、10月19日からポイント付与が始まった「Eパーク」では、即日ポイントが付くことが評判となった。加盟店の「くら寿司」では、顧客単価1000円ですぐ1000円分のポイントが還元されて、次回の予約ができるため、「無限くら寿司」と呼ばれた。
くら寿司の10月における既存店売上高は前年同月比126.1%。9月は「鬼滅の刃」とのコラボ効果で107.9%となっていた。つまり、10月には「鬼滅の刃」効果に加えて、ポイント関連が売り上げを1〜2割くらい押し上げていたと考えられる。
同社広報では「くら寿司を知らない人にも、お店の名前を覚えてもらう、またとないきっかけになった」と、前向きに捉えている。
また、「焼肉きんぐ」もEパークでポイント付与に参加したが、休日には40組以上が待つ店も出るほど人気になった。Eパークでは、自分の順番が来ればスマートフォンにアラートが来る。そのため「駐車場の車の中で待ってもらえ、店内が順番待ちで密にならなくて済んだ」(運営する物語コーポレーション・広報)と、グルメサイトの恩恵を感じている。
両チェーンに限らず、「普段来なかった新しい顧客が来た」と、「Go To イート」の顧客開拓効果を挙げる外食関係者は多い。
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