不正受給の「指南役」に厳罰を、役人には猛省を穴だらけ施策(1/2 ページ)

» 2020年12月17日 09時03分 公開
[日沖博道INSIGHT NOW!]
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日沖博道氏のプロフィール:

 パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。日本BPM協会アドバイザー。


 最近書いた『給付金の不正受給とGo To Eatの「錬金術」の根は同じ』という記事では、スマホとSNSの普及のせいで具体的なやり方が簡単に拡散することで、昔だったらそうした浅ましい振る舞いに及ぶことはなかったであろう、ごく普通の若者が軽い気持ちで手を染めてしまうことを嘆いた。

 もちろんこうしたバカなことをするのは若者だけではないが、若くもないのにそうした所業を嬉々として行う連中には、嘆いてあげる価値すらないと思う。

 当たり前だが、持続化給付金の不正受給はれっきとした犯罪である。そして他人をかどわかしてその犯罪に手を染めさせて自らは手数料をぼったくる指南役連中は、それに輪を掛けた犯罪である。彼らこそ警察が真剣に追及すべき悪党である。ふん捕まえたら厳罰対処してもらいたい。

 しかしそうした悪党や、直接の実行者である不正受給者、そしてGo Toイート「錬金術」の実施者たちのように分かりやすい悪徳連中の陰に隠れているが、実は非難されるべき輩が他にもいる。それはそうした「ただ乗り」やり放題の穴だらけ施策を世に出して涼しい顔をしている役人たちだ。

 政府の制度設計者には、こうした救済策の穴に乗じた火事場泥棒的な行為が発生することは実はサプライズではなく、初めからある程度織り込み済であると考えられる。実際、「トリキの錬金術」問題が報道された直後、農水省の役人が「そういう制度設計になっているので」と問題視しなかったという事実がある。

 穴だらけであることを十分認識しながら、それでも政治家と役所の上司から急かされて施策開始を急ぐあまり、「穴をふさぐ」手段の検討をしないまま見切り発車してしまったパターンだと考えられる(時間をかけた通常の『役所発』の制度では、不必要に多くの書類を提出させて、ズル利用を防止するものだ)。

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