――他の地域から地方に入って新しいことに取り組むときに、地域の人たちを味方につけるにはどうすればいいのでしょうか。
鳥塚: 地域の産品などに付加価値をつけなければいけないという課題は、農協や漁協、商工会の人たちが日々直面していることです。理解してもらえれば一緒に取り組むことができるでしょう。そうすると、役場の幹部や議員も仕方がないなと思って動き始めます。
沢渡: 自分の考えに共感してくれる人と、いかにつながるかが大事ということですね。新しいことをやりたいと思っていても、しがらみがあってこれ以上は言いにくいと思っている人も地域には多いでしょうね。
鳥塚: 地域の中にも問題点を分かっている人はいるけれども、角が立つから言わない人がたくさんいます。アメリカの大統領選で言えば隠れトランプや隠れバイデンみたいなもので、世界のどこにでもいるはずです。こういう人たちを動かすには、地域のキーパーソンとつながることが近道ですね。
沢渡: 私は地方の企業と向き合っていて、大きく2つのタイプがあると感じています。1つはトップが地域の外の世界を知っている企業。もう1つは地元密着で、ずっと地域の中で頑張ってきた企業です。これは私の肌感覚ですが、変革できているのは圧倒的に前者の企業ですね。東京の企業や海外で働いた経験があるトップや、鳥塚さんのように他の地域や別の業界から来た人の方が、ビジネスモデルも含めて抜本的にに変革できています。
浜松市では、海沿いの公園を会場に、後部座席をオフィスさながらに改装したワゴン車でテレワークできる環境を提供する「浜松テレワークパーク構想」の実証実験が始まりました。浜松市と企業3社で始まったプロジェクトで、リーダーを務めている方は日本オラクルの元社員で、故郷の浜松市に戻って起業した方です。グローバル企業での経験や発想も生かして、地域の多様な人材をかき混ぜながら新しいものを起こそうとしています。この取り組みからも、外を知っている人と中を知っている人がハイブリットで変えていくことが、現実的な解をもたらすと感じています。
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