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えちごトキめき鉄道の鳥塚亮社長と沢渡あまねが語る「地方企業の問題地図」 Uターン、Iターンが失敗する構造的問題地方企業の問題地図 【前編】(5/5 ページ)

» 2020年12月18日 11時10分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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地方自治体は普通の企業とは逆の構造

鳥塚: 地方は公務員が多くて、行政主導型ですよね。特に田舎の行政は、現場の声がトップまで上がりません。だいたいが課長止まりで、部長は知らない。部長が知っていても、副市長は知らない。知っていても議会にどう説明しようかといろいろなことを考えて、上司には報告しないのです。

 この構造は、普通の企業とは逆です。企業であればトップだけが重要な情報を知っていて、部下に余計なことを教えないことが多いですが、田舎の行政はトップが何も知らない。第3セクタの取締役には役場の幹部がいますが、担当者と事前に打ち合わせたことを知らないケースもよくあります。

 そういう中で、えちごトキめき鉄道の株主でもある新潟県妙高市では、企画や観光の関係の部署にいる職員が、月の3分の1は東京や大阪を飛び回っています。ひとり親の家族の移住を支援するなどユニークな施策も打ち出していますし、市長がトップダウン型ということもあって、非常に意思疎通ができています。だから、一概に行政がダメだということではありません。妙高市は人口が3万人余りなので、規模の大小もあまり関係ないと思っています。

沢渡: 神戸市はサイボウズと業務改善の事業提携だけでなく、人事交流も進めています。行政も外との人材交流によって、地域を変えようとしています。行政は民間企業の当たり前を、地方の企業はグローバルレベルでの改善の手法を取り入れることが、これから大事になってくるということですね。(後編に続く)

phot 神戸市はサイボウズと業務改善の事業提携だけでなく、人事交流も進めている(神戸市のWebサイトより)
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