夢の”空飛ぶクルマ”に1歩前進 JAXAとヤマトHDがコンテナの空力形状を開発PUPA8801(ピューパ8801)

» 2020年12月21日 11時35分 公開
[ITmedia]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とヤマトホールディングスは12月18日、「空飛ぶクルマ」とも称される物流電動垂直離着陸機(物流eVTOL)への装着、地上輸送手段への搭載の両方が可能な大型貨物ユニット「PUPA8801」(ピューパ8801)の空力形状を開発したと発表した。空力形状とは、航空機など、高速で空気中を移動する物体に作用する空気抵抗のような空気の力を考慮した形状のこと。

PUPA8801の運用イメージ(出所:プレスリリース)

 ヤマトHDによると、貨物ユニットには物流eVTOLへ装着したときの高い空力特性と、既存の陸送ユニットと共存する直方体に近い形状が求められるという。

 この課題解決に向けヤマトHDは、物流ノウハウやこれまでの研究・開発の成果から貨物ユニットのコンセプトモデルを企画。JAXAが数値シミュレーション技術を用いた解析を行い、約4カ月で空陸両用のニーズを同時に満たす貨物ユニットの空力形状を開発したという。

空力形状の変遷(出所:プレスリリース)

 eVTOLは「空飛ぶクルマ」とも称されていて、都市部や離島、山間部の新たな移動・輸送手段、災害時の救急搬送などでの活用が期待され、官民あげて開発を行っている。ヤマトHDは2019年8月、米ヘリコプターメーカーのベルと共同で貨物eVTOLを使った空輸の実証実験を実施。自律飛行の安全性や、貨物の取り扱いなどの検証を進めていた。

 ヤマトHDは「『新たな空の輸送モード』の構築に向け、今回の成果を踏まえた具体的なサービス性検証などの開発を行い、20年代前半までのサービス導入を目指す」とコメントしている。

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