コラム
» 2020年12月23日 07時00分 公開

人生100年時代の働き方・活躍の仕方とは? (1/2)

2021年4月から「70歳までの就業機会の確保等」に関する高年齢者雇用安定法が施行される。高齢者が活躍できる場は少ない印象があるが、どこで活躍できるのか?

[ニッセイ基礎研究所]
ニッセイ基礎研究所

本記事は、ニッセイ基礎研究所「人生100年時代の働き方・活躍の仕方とは?」(2020年11月27日掲載、生活研究部 主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 前田 展弘)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。


Q1.新聞報道などで「70歳定年」という言葉を見る機会が増えました。高齢期に働くことについてどのように考えることがよいのでしょうか?

人生100年時代の働き方・活躍の仕方〜「生計就労〜生きがい就労」の実現

※以下の記述は「定年」がある仕事をされている人を念頭においています。あらかじめご了承ください。

 2021年4月から「70歳までの就業機会の確保等」に関する高年齢者雇用安定法が施行されます。70歳までというのはあくまで事業者に対する「努力義務」として講じられることですので、すぐに誰もが70歳まで働く(働ける)という世の中にはならないでしょう。ただ、何歳まで働くか(働けるか)という議論はこれからあらゆる所で増えていく可能性があります。

 高齢期に働き続けることについては、「それまで十分勤め上げたのだから、あとはゆっくりできることが望ましい」「いわゆる高齢者になったのだから引退はやむを得ない」など、引退することを歓迎、あるいは必然のこととして受け入れる考えから、「働けるうちはいつまでも働きたい」という意欲高い考えもあると思います。それまでの蓄えや経済環境によっても、考えは異なってくるでしょう。

 ただ、一つ明らかなことは、人生100年時代に照らせば、65歳あるいは70歳で引退した後もまだ30年近い人生が残っている(可能性がある)ということです。人生の長さに照らせば、65歳での引退は明らかに早すぎます。「定年=引退」という人生のイベントはあくまで「通過点」と考えることがこの時代を生きていく上で自然なことだと考えます。

 実際、年齢に関わらず自分らしく社会の中で“活躍”し続けることは、健康や生きがいにもつながります。特に「就労」という形で活躍し続けることは、高齢期の経済基盤を支えていくことにもなります。また、今の高齢者は体力的にも若返っていることが各種調査等からも確認されます。その下の年代の人たちもおそらく同様です。個人差のある話でありますが、ジェロントロジーの観点からは、60代、70代はまだまだ若いわけで、働く意思がある限りは社会の中で活躍し続けることが望ましいでしょう。

 そうした考えのもと、人生100年時代にふさわしい働き方をイメージしますと、次のようなパターンが一つの理想ではないかと思います。それは、「65歳までは生計のための就労(=生計就労)に勤め、その後は“85歳くらい”まで生きがいのための就労(=生きがい就労)に従事する」というものです。85歳については、特段の根拠はありません。

 ここで理解いただきたいことは、65歳からの生きがい就労は、現役当初と同じような働き方ではなく、週2〜3日、1日2〜3時間くらいの軽度な仕事です。高齢者の多くは、現役当初と同じような月曜日から金曜日までフルタイムで働くことを望んでいません。自分の体力やペースに合わせて働けることを望む人が多いのが実態です。「仕事=苦役」と考える人も少なくないかもしれませんが、それくらいの負荷で自分のペースで高齢期も働けることはむしろ恵まれた環境といえるのではないでしょうか。このように「生計就労」から、働く目的を変え、働く量をダウンサイジングした「生きがい就労」に移りながら、例えば一つの目標として、85歳くらいまで活躍できる人生ができたら、それは素晴らしいことだと考えます。経済的な支えという視点からも有益なことです。

 また、そうした働き方は選択肢(可能性)も非常に多く魅力的です。雇用されて働くパターン(継続雇用、再雇用、再就職)から、自らから「起業」する、NPOなど地域貢献型の活動をする、協同労働やボランティアという活躍の仕方までさまざまあります。65歳からもこうしたさまざまな働き方、活躍の仕方がある、自分のキャリア・人生を広げられる可能性があるということを認識いただいたうえで、高齢期の働き方・活躍の仕方について一度考えてみてください。

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Q2.実際、高齢者が活躍できる場は少ないと思いますが、どこで活躍できますか?

高齢者の活躍の場を拡げる「生涯現役促進地域連携事業」の展開

 確かに、リタイアした後も活躍できる“場”がなければ、生きがい就労など“絵に描いた餅”になってしまうでしょう。ところが、そうした場を創ろうとしている事業があるのです。それは、厚生労働省が2016年度から進めている「生涯現役促進地域連携事業」というものです。

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