異才を掘り当てた“Twitter採用”は、なぜ成功したのか タニタ人事部に聞く新人の奇抜な商品がヒット(1/2 ページ)

» 2020年12月10日 07時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]
photo 岩下の新生姜とコラボした歩数計。岩下の新生姜は、歩数計だけでなくさまざまななコラボ製品を企画している。本社近くの「岩下の新生姜ミュージアム」は人気スポット

 「岩下の新生姜」とコラボしたタニタの歩数計をご存じだろうか。生姜と歩数計という、何とも不思議な組み合わせだが、この商品はTwitter経由で採用した新人(女性)が最初に打ち出した商品企画だという。彼女の上司であり、採用を決めた「Twitter担当」(名前と顔出しはNG)さんは、「提案された当初は、この商品の意味するところが理解できなかった」と打ち明ける。

 だが、この異種格闘技的な商品は「岩下の新生姜」ファンというコアな客層を通じてジワジワと浸透。プチヒット商品になり、タニタがシリーズ化しているコラボ歩数計に、新風を吹き込んだ。そんな異才を掘り当てた「Twitter採用」について迫ってみよう。

Twitter採用で「とても良い人が採れた」

 健康器具のメーカーでありながら、社員食堂のレシピの会社としても名が知られているタニタ。過去に一度だけ、Twitter採用を実施した。2018〜19年のことだ。タニタが実施したTwitter採用というのは、同社のTwitter公式アカウントからのみ募集を行うことだった。「当社の公式サイトや従来の求人チャンネルには、情報を一切載せないで、Twitterの一回のつぶやきのみで募集した」(Twitter担当さん)そうだ。

 今日では「#Twitter採用」や「#Twitter転職」といったハッシュタグは珍しいものではない。しかし当時はタニタのような有名企業がTwitterのみで、しかも1回のつぶやきだけでリクルートすることは非常にまれな事例であり、「冒険したな」と思わせるに十分であろう。なぜこのような大胆な採用を行ったのだろうか。

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