という話を聞くと、何かに気付かないだろうか。そう、実はここまでご紹介した「世界一のインフラ」は近年、「崩壊の危機」が叫ばれているものばかりなのだ。
日本の「世界一の定時運行」を象徴する新幹線は、3年前にあわや大事故につながる重大インシデントが発生。背景にあるのは、正確で安全な運行を陰で支える保守点検作業員の深刻な人手不足である。これがいよいよシャレにならなくなってきていることは、鉄道各社が「終電繰り上げ」に踏み切っている事実が雄弁に語っている。
「世界一の宅配」に関しても、数年前から「宅配クライシス」が叫ばれている。ドライバー不足や低賃金などの劣悪な労働環境から、いままでのような水準の宅配サービスが提供できないと現場から悲鳴が上がっていて、これまでご法度だったライバル社同士の配送協力や、鉄道やバスなどの公共交通機関の活用なども始まっている。
「世界トップレベルの郵便」は高齢者をカモにしたかんぽ保険の不正など不祥事続発。現場に厳しいノルマをかけるなどのパワハラも多数報告され、経営陣が「再発防止」を叫ぶも状況はまったく改善されていない。
「世界一のコンビニ」も同様だ。バイトが集まらないところに、サービスの多様化によって仕事量が増えている。以前から労働環境のブラック化が指摘され、19年はセブン-イレブンの24時間営業問題をきっかけに、さまざまな問題が噴出した。
そして、「世界一の医療」についてもはや説明の必要はないだろう。日本よりも桁違いに多くの感染者や死者が出ている欧米ではもはや聞かれることが少なくなった「医療崩壊」がなぜか連日のように叫ばれている。現場の医療従事者によれば、もはやいつ崩壊してもおかしくない危機的状況だという。
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