高性能CPUのニーズは、CPU以外の部品需要にも影響を与える。例えばメモリだ。新型iPhoneでは5nmのCPUに対応してDDR5規格のメモリを搭載している。これまでの4G/5GスマホはDDR5が適合していなかったが、20年からDDR5の搭載量が急速に増えると今中氏は見る。
「メモリ大手のマイクロン・テクノロジーは、決算はぱっとしなかったが、見通しはけっこう強気だ。背景にあるのがDDR5の生産だ」(今中氏)
さらにメモリやCPUの製造装置、そしてテスト機器にも影響は波及する。旧型のDDR4規格のメモリテスター機器は、DDR5では使えない。そうなると、メモリテスターで世界シェア55%を占める国内企業アドバンテストにも追い風だ。
製造装置では、7nm以下の半導体回路を焼き付ける極端紫外線(EUV)露光装置をオランダの半導体製造機器メーカーASMLが独占している。「(ファウンドリ1位、2位の)TSMCとサムソンの間で、露光装置の争奪戦が始まっている」と今中氏。
こうした背景の中、TSMCの投資額は増加しており、21年の投資額は、20年の約170億ドルをかなり上回る220億ドルに達すると、今中氏は見る。需要の盛り上がりとともに、投資額も増加しており、世界最大の半導体製造装置メーカーである米アプライド・マテリアルズや、東京エレクトロン、レーザーテック、SCREENホールディングス、ディスコなど国内半導体製造装置メーカーの業績にも影響しそうだ。
半導体業界は、一般的に4年周期で好不況を繰り返す「半導体サイクル」を持つといわれる。18年始め頃から調整を続けていたサイクルは、19年末には底を付けたとも言われている。コロナ禍による好調な需要もあって、21年は大きく市場が伸びる可能性がありそうだ。
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