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パワハラは減らないどころか増えている――加害者の典型的な言い訳と、決定的な「2つの見落とし」とは見落としがちな“心のエアポケット”(5/5 ページ)

» 2021年01月20日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]
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上司の仕事は「部下を追い込むこと」ではない

 職場において、上司の役割は部下を追い込むことではありません。部下を成功に導き、部下とともに最大の成果を出すことです。そのためには常に注意深く部下の状況を観察し、適切な配慮を施すことが必須です。

 一方、部下の側からすると、一度心のエアポケットに落ちてしまうと自力で這い上がるのは難しくなります。真面目な人ほど現状に耐えて頑張ろうとし、心のエアポケットに陥りがちです。心のエアポケットに落ちたことに自力で気付くことは困難です。そうならないように、できる限り予防する必要があります。

 予防するには、定期的に休みを取るなど心身のメンテナンスをすること。それが職場においてもトータルで最も高い成果を出し続けることにつながります。今は働き方も多様な選択肢から選べるようになりつつあります。在宅勤務やワーケーションなど、職場との心身の距離を保ち、リセットしやすい働き方も心のエアポケットを回避する上で有効だと思います。

 パワハラのように、優越的な関係を背景とした言動が相手の心身に苦痛を与える場は、職場に限られているわけではありません。家庭内、学校、友人関係など、あらゆる生活シーンにおいても同様に起こり得ます。

 人が人を追い込むことによって、不幸な選択をしてしまう被害者も、させてしまう加害者も、どちらも生み出さないために――誰もが常日頃から、自分と周囲の人たちの心のエアポケットに注意を払っておく必要があるのです。

著者プロフィール・川上敬太郎(かわかみけいたろう)

1973年三重県津市生まれ。愛知大学文学部卒業。テンプスタッフ株式会社(当時)、業界専門誌『月刊人材ビジネス』などを経て2010年株式会社ビースタイル入社 。2011年より現職 (2020年からビースタイル ホールディングス) 。複数社に渡って、事業現場から管理部門までを統括。しゅふJOB総研では、のべ3万人以上の“働く主婦層”の声を調査・分析。 『ヒトラボ』『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰。NHK『あさイチ』など、メディア出演・コメント多数。 厚生労働省委託事業検討会委員等も務める。 男女の双子を含む4児の父。


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