目玉は「終電繰り上げ」だけ? ダイヤ改正で読み解くJRの“真意”JR東海の在来線には大きな変化なし(3/4 ページ)

» 2021年01月22日 05時00分 公開
[岸田法眼ITmedia]

JR東日本仙台支社エリアでは東北本線のダイヤを見直し

 JR東日本で注目するのは、仙台支社エリアにおける東北本線のダイヤを見直すこと。一部時間帯の運転間隔を均等化することで分かりやすい発車時刻にした。また、日中時間帯は輸送障害発生時の影響範囲を小さくするため、運転区間の見直しを図る。これにより、ほかの線区や区間は、可能な限り通常運行を確保するという。ここでは東北本線をピックアップし、解説していこう。

 現行の日中ダイヤの東北本線黒磯ー福島間については、黒磯ー新白河間、新白河ー郡山間、郡山ー福島間で折り返し運転を行なっており、このパターンを福島ー仙台間にも広げる。ダイヤ改正後の同区間は、福島ー白石間、白石ー仙台間の折り返し運転に見直す。これに伴い、福島ー仙台間の快速「仙台シティラビット」が廃止となる。また、仙台空港鉄道直通(仙台―仙台空港間運転)の快速も3往復中2往復が普通電車に格下げとなる。

国鉄分割民営化後、各地で快速が新設され、速達サービスを展開した(写真は快速「仙台シティラビット」)

 快速縮小の背景として考えられるのは、利便性と速達性の両立ができていないことだ。快速「仙台シティラビット」の場合、福島ー仙台間79.0キロを最速1時間13分で結ぶ。しかし、日中の福島ー白石間の旅客列車は1時間に1本の運転で、なおかつ快速「仙台シティラビット」と普通電車の交互運転のため、貝田、越河(こすごう)は2時間に1本の割合でしか停車しない。沿線の住民や、このエリアに用事がある人にとっての利便性は高くない。

 加えて、白石で快速「仙台シティラビット」と当駅発着の普通電車と接続しているが、待ち時間が17〜31分と長い。さらに岩沼で常磐線からの普通電車、名取で仙台空港鉄道からの普通電車と相互接続していない。速達性の恩恵を受けるのは、快速停車駅の乗客のみなのだ。

 仙台空港鉄道直通の快速も同様で、名取で東北本線の普通電車と相互接続をしていない。快速を普通電車に格下げることで、南仙台、太子堂、長町に停車する列車を増やし、「利便性の向上」=「新型コロナウイルスの影響による減収を食い止める策」に打って出たのではないだろうか。

 参考までに、首都圏、中京圏、関西圏、福岡圏、札幌圏の場合、快速と各駅停車(もしくは普通電車)が同一ホームで相互接続することが多く、速達性と利便性の両立を図っている。これができなければ、快速が永遠に続かない。

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