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テレワークは若いほど積極的、高齢者ほど消極的 年代別の働き方ニッセイ基礎研究所の調査(1/2 ページ)

» 2021年01月29日 07時00分 公開
[ニッセイ基礎研究所]
ニッセイ基礎研究所

本記事は、ニッセイ基礎研究所「年代別に見たコロナ禍の行動・意識の特徴〜働き方編−若いほどテレワークに積極的な一方、現場業務の負担も」(2021年1月19日掲載、著者:生活研究部 主任研究員 久我 尚子)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。


要旨

 20〜59歳の正規雇用者全体では、コロナ禍で会食や対面会議、出張などのリアル行動では減少層が目立つ一方、在宅勤務などのテレワークは増加層が目立つ。なお、出社でも減少層が増加層を上回るが、変わらないが約6割を占める。また、テレワークは医療や運輸、小売業など在宅勤務の難しい業種をはじめ約半数が利用していない。

 6月と9月を比べると、感染拡大の状況がいったん落ち着き、経済活動が再開されるとともに、出社や出張控えが低減され、働き方は徐々に元に戻ろうとする一方、テレワークでは増加層は同水準が維持されており、一定程度、定着している様子がうかがえる。

 年代別に見ると、テレワークの利用は、デジタルネイティブ世代の多い若者ほど積極的である一方、社会人になってからパソコンなどを学習してきたデジタルイミグラント世代の多い高年齢ほど消極的である。

 一方、建設業や製造業などでは、若いほど出社が増え、在宅勤務が減る状況もあり、経済活動の再開以降、管理職の少ない若い年代で現場業務の負荷が増している可能性がある。また、在宅勤務が可能であっても、企業文化によっては、業務における自己裁量の幅の狭い若者では在宅勤務がしにくい雰囲気もあるのかもしれない。

 コロナ禍がなくとも、近年、社会情勢や消費行動が目まぐるしく変容する中で、企業活動のデジタル化は急務だ。しかし、組織で意思決定を担う経営者や管理職層の大多数は、テレワークにも消極的なデジタルイミグラント世代が多い。周回遅れとも言われる日本社会のデジタル対応を進めるには、社会をけん引する世代の意識改革が必要だ。

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