2500人が販売待ち! なぜ1個500円の高級トイレットペーパーが売れるのか製造が追いつかない(4/6 ページ)

» 2021年01月30日 07時51分 公開
[小林香織ITmedia]

品質は極上でも「家庭用」では売れない

 同社が高級トイレットペーパーの開発に着手したのは2000年のこと。複数の大手企業が低価格帯でそれなりの品質の製品を多数売り出し、市場では価格競争が激化していた。

完売必至の人気商品「うさぎ」を開発した4代目社長の森澤良水氏

 「当社のような地方の中小企業は、大手と同じことをしても勝ち目はありません。そんな背景もあり、当時4代目の社長を務めていた現会長の森澤良水が、母数の小さい高品質・高価格のトイレットペーパーを作ろうと声を上げ、製品開発がスタートしました」(森澤氏)

 良水氏は、自身が敏感肌だったことからトイレットペーパーで拭いた際の肌の痛みに悩みがあった。同じ悩みをもった人々の悩みを解決したいとの思いから、これまでにないやわらかさを持った新製品を作ろうと企画したのだ。

 そうしてできあがったのが「素肌ロール」(うさぎの前モデル)で、当初は高知県内のスーパーマーケットやドラッグストアを中心に、4ロール入りの家庭用製品として販売。一部の狭い層の顧客から品質を絶賛する声は届いたものの、大きな売り上げにはつながらなかった。

 その後、数年間は鳴かず飛ばずの状態が続いたが、同社は製品の改良や新製品の開発を淡々と続けた。そして、2006年に家庭用製品からギフトアイテムへと大きな方向転換を図ったことが転機となったのだ。

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