クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

オール電化やタワマンを見れば分かる EV一辺倒に傾くことの愚かさとリスク高根英幸 「クルマのミライ」(1/7 ページ)

» 2021年02月01日 07時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

 クルマの電動化に関する議論が過熱している。欧州や北米、中国での純エンジン車販売規制によって、従来のCAFE規制(企業内平均燃費規制=企業ごとに販売車の平均燃費を規制する法律)をクリアするためのEV導入から、さらに進んだ電動化への具体策が求められているからだ。

 実際、欧州や中国ではEVの販売比率が急速に高まっている。それに対し日本でも、日産や三菱に続いて、ホンダ、トヨタ、マツダがEVを出しているが、それらは販売目標も少なく、まだ現時点では飛躍的にEVの比率が高まるような気運は見られない。

 ちなみに90年代にも日本ではEVブームが起こり、トヨタはRV4のEVを発売し、日産はアベニールやプレーリージョイをEV化してリース販売した(主に電力会社向けではあったが)こともあった。しかしそれは一過性のブームで終わり、やがてガソリン改質型の燃料電池車へとムーブメントは移り、現在のFCVへとつながっている。

 同じようなことは、かつてロータリーエンジンでも水素エンジンでも起こっていた。自動車メーカーが新しい技術やゼロエミッションに挑戦し続けるのは、生存競争でもあり、存在意義となる使命でもあるからだ。企業のアイデンティティを何によって確立するかはいろいろだが、自動車メーカーにとって環境問題は企業イメージに与えるインパクトも大きい。

 そういった意味では日産の電動化戦略はまったく正しい。「やっちゃえ日産」とCMで高らかに宣言してEVや自動運転を強調したのは、純エンジン車でもハイブリッドでも他メーカーに比べ優位性を見出せなかったからだ。

 それでも、結果的にリーフの販売が日産の業績に貢献したかといわれれば微妙だ。しかし、EVの先駆者たるイメージはしっかりと浸透させている。

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