コロナワクチン、有効率90%超えの真の意味:専門家のイロメガネ(3/5 ページ)
ファイザーと他2社も含めて、公表されたデータを見る限りワクチンの効果が出ていることは間違いなさそうだ。ファイザーの結果が記載された論文によると、先ほどの発症した8人と162人は新型コロナの症状があって、その後検査で診断を受けた、とある。
つまり、この8人と162人以外(表の2万1992人と2万1838人)は、感染しなかった人と、感染したかもしれないけれど発症しなかった人の合計になる。よって、ワクチンを打っても打たなくても、そもそも発症しない確率は99%以上であることが分かる。
ワクチンを打つことで発症しない確率がどのくらい上がるのか? 例えばファイザーのワクチンでは、確率が99.2%から99.9%に上がる。有効率は計算上確かに90%を超える。
一方で、ワクチンが感染を予防するかどうかは、無症状の感染者が多いとされる新型コロナでは確認が難しい。
ワクチンは発症に加えて重症化を抑える効果も期待されるが、新型コロナウイルスの場合、年齢と基礎疾患の有無により重症化率は大きく異なる。
国内のワクチン接種も、当面16歳未満はワクチン接種の対象外となっている。理由として海外の治験では16歳未満のデータが十分ではなく、国内でも20歳以上を対象に治験を行っていることが挙げられる。NHKでは「子どもが感染した場合は重症化するリスクが低いことも理由に挙がっている」とも報じられている。
ワクチンに賛成や反対といった感情論ではなく、あくまでデータに基づいて判断すべきであり、現在公表されている日本におけるワクチン接種方針もそのようになされている、ということになる。
(2021年1月時点)新型コロナウイルス感染症 の“いま”についての10の知識(厚生労働省)
- 新型コロナ薬のレムデシビルは、なぜ米中で治験の結果が正反対だったのか?
新型コロナウイルス治療薬の登場が期待される中、5月7日に抗ウイルス薬のレムデシビルが日本で「特例承認」された。しかし米中でレムデシビルの治験が行われたが、結果が効く、効かないで正反対だったと報じられている。レムデシビルは新型コロナに効くのか、なぜ米中の治験で異なる結果が出たのか。
- 期待のアビガンが簡単に処方できない理由
新型コロナウイルスの感染者数が急増している現在、「アビガン」という薬が特効薬として期待されている。しかし、アビガンは他のインフルエンザ薬が無効、または効果が不十分な新型もしくは再興型のインフルエンザが発生した場合で、なおかつ国が承認した場合のみ使える薬だ。アビガンの「催奇形性(さいきけいせい)」というリスクががその理由の一つだ。
- 1億6000万円の新薬「ゾルゲンスマ」に異例の苦言がついた理由
ノバルティス・ファーマが開発したゾルゲンスマという薬が承認された。薬の価格は国内最高の1億6000万円。たいへん高い薬だと、メディアでも話題になったが、5月には保険の適用が決まっている。しかし、この価格が妥当かどうかについては疑問も出ている。加えて、ゾルゲンスマの審査報告書では製薬会社に対して異例ともいえる「苦言」が書かれている。
- なぜ「原価率300%」の料理を出すのか? コロナ後の飲食店に求められる「メニューの会計力」
コロナ後の飲食店に求められるのが、メニューを会計的に見直す力「メニューの会計力」だ。この力を高めてコロナ後を乗り切っていくことが必要になる。メニューに会計的視点を取り入れて、「広告宣伝費的な視点」「接待交際費的な視点」「販売促進費的な視点」によって、話題を作り、再来店を促し、回転率を上げて来客を促し、顧客を開拓するのだ。
- 東京女子医大で起きた看護師400人の退職危機は「コロナ不況」の先取りである
東京女子医大で看護師400人が一斉退職希望という異例の事態が起こった。6月に病院側が突きつけたボーナス全額カットが、その要因だとされている。しかし大量退職危機は、決して「ボーナスゼロ」だけが原因ではない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.