全世界で7兆円、国内だけでも1兆円規模を誇るスマートフォンゲーム市場。最初は無料で遊べ、ゲームをするプロセスの中でユーザーに課金して収益化を図る設計のものが多い。その競争は厳しい。市場規模が右肩上がりであり、毎年ゲームタイトルが新たに登場し続ける一方で、多くの作品がサービスを終了していく。2020年にサービスを終えた作品数は160タイトル以上にも及ぶ。
家庭用のコンシューマーゲームで大ヒットしたタイトルでも例外ではなく、例えば「ドラゴンクエスト どこでもモンスターパレード」(スクウェア・エニックス)は20年7月に、「ラブプラス EVERY」(コナミ)が8月にサービスを終了している。
ゲームタイトルをリリースし、AppleやGoogleのアプリストアのトップセールス100位以内を勝ち取ったとしても、競争は続く。そのタイトルが人気であり続ける保証はないからだ。「ヒットゲームの5年後生存率は12%」とも言われていて、毎年多くのスマホゲームが姿を消していく。
一方で、5年以上前にリリースされたゲームでもランキング上位を維持し続けているタイトルも多い。例えば、ミクシィが13年にリリースした「モンスターストライク」は、20年のApp Store/Google Playにおける国内モバイルゲームのトップセールスランキングで、上位の常連となっている。そのため、後発の作品ほど既存の人気作に割って入るのが困難な状況が続いている。この熾烈な様相は「スマホゲームはレッドオーシャンを超えたブラックオーシャン」とも評されるほどだ。
こうした中で、後発のタイトルにもかかわらず好調な売り上げをあげている作品がある。サイバーエージェントの連結子会社のCygamesが開発・運営する「プリンセスコネクト!Re:Dive」だ。モンストなどと比べると18年リリースと後発の作品ながら、20年のApp Store/Google Playのトップセールスランキングでも上位に割って入る大ヒットとなっている。
また、20年4月から6月にかけてテレビアニメによるメディアミックスも展開。映像を収録したブルーレイなどのビデオパッケージは1巻だけで5万枚以上を売り上げ、20年のアニメで最も売れた作品となった。
だが、「プリンセスコネクト!Re:Dive」は、「Re:Dive」という名前が表すように、1作目の作品ではない。初代「プリンセスコネクト!」は15年2月からブラウザゲームやスマホゲームとして提供していたものの、16年7月にサービスを終了したシリーズでもある。
いかにして、一度「店じまい」したコンテンツを復活させ、業界を代表するタイトルへと押し上げたのか。「プリンセスコネクト!Re:Dive」のプロデューサーを務め、Cygames専務取締役の木村唯人さんが取材に応じ、大ヒットの裏側を語った。
――今や大ヒットコンテンツとなっている「プリンセスコネクト! Re:Dive(プリコネR)」ですが、初代「プリンセスコネクト!」はどのような形で展開したゲームだったのですか。
初代は、サイバーエージェントさんと何か新しいゲームを作ろうというところから始まった企画です。サイバーエージェントさんの開発チームと、うちの開発チームが一緒になって制作しました。
ゲームとしてはリアルタイムバトルというジャンルになっていて、かなりコアな、ゲームが好きな人向けのゲームになっていました。戦闘が基本的にオートで進む「Re:Dive」とは大きく異なります。ターゲット層としては美少女系ゲームやゲームが好きな人向けに作っていたのですが、残念ながらあまりうまくいかずに、16年7月末でサービスが終わってしまいました。
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