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インタビュー
» 2021年02月22日 07時45分 公開

オフィス縮小移転で年間6000万円削減、浮いた費用どう使う? “やせ我慢”しないと決意した会社の例ClipLineの事例(1/2 ページ)

1回目の緊急事態宣言を受け、全社員を在宅勤務体制へと移行し、オフィスを縮小移転したClipLine。年間6000万円ほどのコスト削減を見込めるというが、圧縮した賃料は何に投資するのか。

[吉村哲樹,ITmedia]

 新型コロナウイルスの影響を受け、首都圏を中心に、社員のオフィス出勤に制限を設け、在宅勤務を大々的に導入する企業が増えている。そんな中、思い切ってオフィスそのものの役割を根本的に見直し、オフィススペースを大幅に縮小したり、場所の移転に踏み切ったりする企業も出てきた。

 ClipLine(東京都港区)もそんな会社の1つだ。同社は、サービス業や飲食業など多店舗ビジネスを営む企業向けに、社内情報共有を活発化するための動画サービス「ClipLine」を提供している。

 もともと同社は、JR田町駅にほど近いオフィスビルのワンフロアを月額500万円ほどで借りており、オフィス環境の整備には気を遣ってきた。しかしコロナ禍とそれに伴う1回目の緊急事態宣言を受けて、全社員を在宅勤務体制へ移行。その後、それまで借りていたオフィスの契約を解除し、2020年8月末に東京・五反田の新オフィスへと縮小移転した。

photo 解約した旧オフィス=ClipLine提供

 オフィスの縮小移転を決断するに至った背景と経緯については、20年5月に公開した記事「コロナ後もテレワーク、『オフィス消滅』企業が続々」で詳しく紹介しているので、そちらを参照されたい。

 本稿では、その後、新オフィスに移転した経緯や効果、現在抱えている課題やその解決策などについて、オフィス移転を主導した遠藤倫生氏(ClipLine取締役)に話を聞いた。

新オフィスの面積は、旧オフィスの4割程度

 オフィスの移転先を検討するに当たっては、社内で広く意見を募ったという。

 「オフィス規模をどの程度まで縮小すればいいか判断するために、緊急事態宣言の解除後に社員をどれぐらいの頻度で出社させようと考えているか、各部門にヒアリングを行いました。新オフィスに必要な機能や立地についても、社員から広く意見を募りました」

photo 新オフィスへの移転を主導した、ClipLine取締役の遠藤倫生氏。取材はオンラインで実施した

 あわせて、外部業者にオフィス移転先の候補となる物件をリストアップしてもらった。合計200ほどの物件の中から45の物件に絞り込み、それぞれメリット・デメリットを挙げて比較検討した。

 それらの中には、5〜10坪程度の必要最低限の事務所スペースと、他社との共用スペースで構成された「レンタルオフィス」「シェアオフィス」も複数含まれていた。しかし同社は最終的には、これまで通り一定程度の専用スペースが確保されたプライベートオフィスの形態を選ぶことにした。

 「各部門にヒアリングしたところ、在宅勤務体制下であっても対面でのミーティングやブレストをオフィスで行いたいというニーズが多かったため、従来通り専用のプライベートオフィスを設けることにしました。ただしスペースは大幅に減らして、予想される最大出社人数にさらに余裕を持たせて、旧オフィスの4割程度の広さまで縮小することにしました」

photo 新オフィスの様子=ClipLine提供

 オフィスの立地に関しては、もともと都心にある旧オフィスへの出勤に便利な場所に住む社員が多く、また郊外のオフィスでは来客に不便を掛けることも考慮し、引き続き都心にオフィスを構えることにした。

 具体的な場所については、さまざまな物件を比較検討した結果、最終的に五反田の「TOCビル」への移転を決めた。築50年以上たつビルで、最寄り駅からも少し離れていたが、代わりに賃料が安く、商業施設が多く入る大きなビルなので利便性も高かった。

 近年「五反田バレー」と称されるように、同ビルとその周辺には新興IT企業が入居しており、そうした先進的なイメージにも後押しされたという。

賃料大幅カットで、年間6000万円の削減を見込む

 このオフィス縮小移転によって得られた最大の効果は、コスト削減だった。家賃は旧オフィスの月500万円から100万円ほどに減り、これに通勤交通費やオフィス消耗品の削減効果などを合わせると、年間6000万円ほどのコスト削減を見込めるという。

 ただし、オフィス賃料を圧縮したからといって、全ての投資や経費を削減するつもりはない。むしろ賃料を圧縮できた分、快適な在宅勤務を実現するための各種投資を積極的に行っていくという。どのように投資していくのか。

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