今回の倒産件数とともに、東京商工リサーチが出した「すし店の倒産年度推移」を見てみると、01年の43件から05年の51件、11年の40件、12年の41件などと10年以上、30件以上が当たり前で推移してきた。それが13年の27件からはやや低くなってこの7年間が30件以下が続いてきた。
つまり、もし20年度の倒産件数が最終的に30件を超えてしまっても、この20年間の推移のなかでは、それほど驚くような数字ではないということなのだ。
コロナ禍という人類が直面したことのない未曾有(みぞう)の危機。しかも、政府や自治体の飲食店支援が不十分だと言われているにもかかわらず、倒産件数を30台で抑えていることは、見ようによっては「寿司業界は危機に強い」とも言えるのだ。
もちろん、これは個々のお店が血の滲(にじ)むような努力をされた結果であることは言うまでもない。倒産していなくても、売り上げが激減して、従業員の給料も払えないほど経営が苦しい寿司店もたくさんいるだろう。
しかし、その一方で、「高級鮨が盛況! 高額品が売れる“プレミアム消費”」(テレ朝ニュース 2020年12月27日)というニュースでも扱われているように、海外旅行などに費やされていたお金が入ってきたり、コロナで新客が獲得できたりという寿司店が存在するのも事実だし、過去最高売上を叩き出したスシローのようにデリバリー路線を強化したことで、好調に推移している寿司店もあるのだ。
そのような意味では、サラリーマンが夜の街から消えて大打撃を負っている居酒屋、クラブ、キャバクラなどの業態より、遥かに「危機」に対応できている店が多いのだ。
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