ヴィンテージ商品の枯渇を理由に、今の古着人気は持続しないとする向きもあるようだが、私はそんな事はないと考える。すでに80、90年代商品がヴィンテージ商品として仲間入りを果たしており、商品の枯渇は理由にならないだろう。それより、ファッション・トレンドそのものの価値観が97年と比べて落ちてしまっていることの方が大きいように思う。
00年時点での比較となってしまうが、単身世帯における洋服や履物に関する年間の支出額は11万4711円であったが、20年度は5万8914円まで落ち込んでしまっている。その間のデフレによる購入価格の下落も勘案しても、現代人はそこまでファッションにお金をかけなくなってしまっている表れともいえる。また、ファッションブームを創り出す若い世代そのものの人口も、97年当時と比べて約500万人も縮小している事を指摘しておきたい。
ただ、この古着ファッション人気を支えるもう1つのユーザーには、40歳前後のアダルト層もいる。彼らは97年代の古着ブームを体験した世代。その当時、あまりにも高価なため購入を諦めてしまった往年の商品を、今、あらためて買い求めるという「憧れ消費」に走っている。
この2次的ユーザーは97年当時にはあまり存在しなかった層だといえる。しかし、この層は子育ても担う世代であって、一様に金銭的な余裕があるとは限らないし、体形、エイジングといったことから、古着ファッションを今さら取り入れることをためらう人もいる。
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