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» 2021年03月11日 07時00分 公開

創業83年の製造業が大改革──東京本社は90%以上テレワーク、「紙・はんこ文化」からの脱却! その秘訣とは?(1/3 ページ)

製造業にとって、働き方改革は容易ではない。それでもテレワークやペーパーレスはじめとする新しい働き方を積極的に取り入れているのが、ダイカストメーカーのアーレスティだ。緊急事態宣言下では多い日は90%以上のテレワーク率だというアーレスティは、これまでどのようにして働き方改革を浸透させてきたのか。

[房野麻子,ITmedia]

 製造業にとって、テレワークやペーパーレスはじめとする働き方改革は容易ではない。工場を含む複数の事業所で同じように制度を導入することが難しいため、旧来型の働き方を続ける選択をする企業も少なくない。

 そのような中、積極的に新しい働き方を取り入れている企業がある。自動車のエンジンやトランスミッションなどのダイカスト製品、アルミニウム合金地金、フリーアクセスフロアパネルの製造販売を行うアーレスティだ。1938年に創業し、国内に関連会社含め9社、海外は5カ国8社で事業を展開している。

※【編集履歴:2021年3月11日午前10時00分 初出時の記載に誤りがあったため、一部表現とタイトルを改めました】

 アーレスティではコロナ禍以前からフレックス勤務、勤務時間のインターバル、テレワークの導入を進めていた。2020年の緊急事態宣言中は、本社全員で原則テレワークとし、年末調整や稟議のペーパーレス化にも取り組んだ。現在2回目の緊急事態宣言中も東京本社のテレワーク率は通常80%以上、多い日は90%以上だという。

 どのようにして働き方改革を浸透させていったのか、総務・人事を担当するヒューマンリソース部の部長、清水敦史氏にうかがった。

photo ヒューマンリソース部 部長 清水敦史氏(写真提供:アーレスティ、取材はオンラインで実施した)

家で仕事ができるはずない? 徐々に進めた働き方改革

 アーレスティの働き方改革は、15年ごろに政府が推進してきた働き方改革に倣う形でスタートした。

 目的は、人手不足と長時間労働の回避だ。労働人口が減少していく中で人材確保のために、多様な働き方は欠かせない。また、深刻化していた長時間労働を是正し、従業員が適切なワークライフバランスを取れるようにサポートすべきと考えて取り組んだ。

 フレックス勤務は15年以前から取り入れており、主に管理系、営業系の部署に浸透した。18年からは、勤務時間のインターバルを導入した。特に勤務時間のインターバルは、フレックス勤務が難しい工場にも適用した。

 「特に工場の管理職の長期間残業が深刻な問題だったので、早くから残業削減には取り組んでいました。最初は工場もこのような施策の導入にためらいがあったと思いますが、適用できるものは工場にも適用しようという方針で、徐々に浸透させました」(清水氏)

 アーレスティの全社従業員は約1000人で、6割が工場で働いている。1割が営業で、残り3割が東京と豊橋にある本社部門だ。東京には管理部門、豊橋には技術開発部門が主に集まっている。

 経営陣は働き方改革の行く先として、従業員の過半数である工場勤務者のテレワーク導入に期待していた。しかしそれは非常に難しかったという。「なかなか物事が進みませんでした」と振り返る清水氏は、「まずはやってみないと、どういう問題があるか分からない。やれるところからやってみよう」という方向に舵を切る。

 19年に、希望者のみを対象とする形で試験的にテレワークを導入した。希望者が手を上げ、上司が承認したらやる、という方式だ。育児短時間勤務の制度を利用していた人や、ITやシステム関係に強い人、テレワークを推進していたヒューマンリソース部などから希望者が出たが、その人数は少なかったという。

 「上司側には、目が届かないところで部下がちゃんと仕事をするかという疑いを持っていました。部下側も、押印が必要な紙の帳票がたくさんあるのに家で仕事ができるはずない、という意見が正直ありました」

 上司がテレワークに積極的だと部下からも希望者が出るという傾向はあったが、テレワークを浸透させることに苦労する状態が1年ほど続いた。

 そして20年の春に新型コロナウイルス感染症が広がる。通勤途上の感染リスクが懸念され、学校の一斉休校により、子どもの面倒を見るために家にいなくてはならない社員も出てきた。その後、緊急事態宣言も出たことで「緊急避難的な対応」ではあったが、トップダウンで本社勤務の社員全員、原則テレワークが決まった。

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