不祥事・炎上はなぜ絶えない? スタートアップ企業のトラブル事案から考える、危機管理広報の在り方働き方の「今」を知る(4/4 ページ)

» 2021年03月12日 05時00分 公開
[新田龍ITmedia]
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(6)自社従業員の心理面にもケアをすること

 ネガティブ報道に対する不安や動揺、もしくは世の中からのバッシングを最前線で最も強く受けるのは、自社従業員である。報道を受けて、代表電話には苦情や問い合わせの電話がかかってくるし、それに対応している社員の様子を見た周りの社員にもやるせない思いが広がっていくことだろう。

 疲弊して帰ってきた従業員を迎える家族にも、心理的負担がのしかかってくることは間違いない。そんな大変な従業員たちこそ、前線で会社のことを代弁し、場合によっては弁護しなければいけないのだ。そういった構図であることを前提に、会社として対応を考えていかなければならない。

自社社員のケアも重要な対応だ(出所:ゲッティイメージズ)

(7)普段からポジティブな情報を発信し続けること

 自分たちのやっている活動がいかに世の中に貢献しているのか、普段から発信していくことこそ、ネガティブ報道に対する最大の防御といえる。何ら情報がなければ、いざネガティブ報道が広がったときにネット上はネガティブ情報のみであふれてしまうが、ポジティブ情報が圧倒的に多ければネガティブ情報は埋もれるし、それだけあなたの会社を応援してくれる人が増え、「そんな会社ではない」と考えてくれることにつながるはずだ。

 さて、今回は直近で起こったスタートアップ企業の事例を基に、危機管理の基本を解説してきた。スタートアップ企業では、事業規模が小さいということもあり、社会問題というほどまで炎上が広がるケースはそう多くない。そこで次回の記事では、有名企業で不祥事が起きたケースを基に、うまく対応できなかった失敗例と、一方で対応に工夫し、うまく立ち直った成功事例を見ていく。

著者プロフィール・新田龍(にったりょう)

働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役/ブラック企業アナリスト

早稲田大学卒業後、複数の上場企業で事業企画、営業管理職、コンサルタント、人事採用担当職などを歴任。2007年、働き方改革総合研究所株式会社設立。労働環境改善による企業価値向上のコンサルティングと、ブラック企業/ブラック社員関連のトラブル解決を手掛ける。またTV、新聞など各種メディアでもコメント。著書に「ワタミの失敗〜『善意の会社』がブラック企業と呼ばれた構造」(KADOKAWA)他多数。


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