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なぜ、ノートンは3Mに“逆転”を許したのか 組織を変革できない企業の末路アジャイル型(1/4 ページ)

» 2021年03月19日 07時00分 公開
[片山良平ITmedia]

 AIやビッグデータ、IoTなど進化やグローバル化、新型コロナウイルスの感染拡大などにより、市場の不確実性が高まっています。より一層、VUCA(予測ができない)の時代となっていく中、企業は柔軟に対応できる組織体制へ、自ら変革していかなければなりません。

 組織体制を変えられない企業はどうなってしまうのでしょうか。なぜ今、アジャイル型組織(変化に対応しながら、製品を開発できる組織)へと生まれ変わる必要があるのでしょうか。

著者紹介:片山 良平(カタヤマ リョウヘイ)

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paiza株式会社 代表取締役社長/CEO

インターネット黎明期より100を超える企業のWebサイトの作成や、ITエンジニアとしてPHPとMySQLを使用したCMS、ASP型ECモールなどの自社開発を担当。2007年からネットイヤーグループ株式会社にて大手通信企業のデジタルマーケティング戦略を統括。12年にpaiza株式会社(20年3月にギノ株式会社より社名変更)を創業、代表取締役社長に就任。21年、エンジニア組織を進化させるWebメディア「TechTeam Journal」を創刊。


組織を変えられない企業はどうなってしまうのか

 必要な変革が遂げられない企業にはどんな運命が待っているのでしょうか。著名なビジネス書『ビジョナリー・カンパニー』でも取り上げられている3Mとノートンカンパニーの事例を紹介したいと思います。

 両社は1910年代、研磨材メーカーとして競合関係にありました。ノートンカンパニーは当時研磨材メーカーとして最大手で、3Mの十数倍の売り上げを誇りました。そのころは収益性も非常に高かったのですが、その後は企業として伸び悩み、90年に敵対的買収により独立企業としての地位を失ってしまいました。

photo 写真はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 一方の3Mは、1902年に米国ミネソタ州で、研磨材原料の採掘事業からスタートしました。創業から十年ほどは、生き残るのが精いっぱいという状況でしたが、現在は売り上げが3兆円規模、従業員数が9万人のコングロマリット企業に成長。世界的な化学・電気素材メーカーとして、耐水性サンドペーパー、スコッチ・テープ、ビデオテープ、生体学的電子補聴器、ポストイット、医療用マスクなど5万5000点以上の製品を手掛けています。

 当初は3Mに対し競争にならないほどリードしていたノートンカンパニーが、なぜ逆転され、ここまで大きく水をあけられてしまったのでしょうか。3Mはなぜ、ここまでの企業に成長することができたのでしょうか。

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