新型コロナウイルスの影響でテレワークを始めたものの、メンバーが何に困っているか見えづらくなってしまった、ミスやトラブルの察知が遅れて対応が後手に回ってしまった、という経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
周囲の反応を過度に気にすることなく、ありのままの自分の意見や状況を共有できる「心理的安全性」は、「話しやすさ・助け合い・挑戦・新奇歓迎」という4つの因子で構成されています。前回の記事では、その中の「話しやすさ」を高める秘訣をお伝えしました。
今回は、「助け合い」について解説します。互いの様子を直接見ることができない中でも、困ったことがあればすぐに上司に相談でき、それに対して周囲のメンバーが積極的に助け合うことができる──そんな組織風土を作るために、人事や管理職が取り組むべきアクションのアイデアを紹介します。
なお、4因子につきましては『心理的安全性のつくり方』(石井遼介著・日本能率協会マネジメントセンター)に詳しく書かれています。
Fringe81株式会社 COO室マーケティング戦略室室長
1994年生まれ。一橋大学経済学部を卒業後、Fringe81株式会社に新卒で入社。新規事業開発本部に配属されUniposの立ち上げ時のPRやカスタマーサポート、マーケティングを担当。2020年よりUnipos株式会社マーケティング執行役員に就任。2020年10月より現職。心理的安全なチームづくりを実践中。
Twitter:@Koharu_Yanagawa
突然ですが、「相談しづらい組織」ではどのような様子が見られると思いますか。
など、他にも目を覆いたくなるような光景が思い浮かぶのではないでしょうか。
では、もう少し掘り下げて「相談を阻むものは何か?」を考えてみましょう。
ハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンソン氏は、心理的安全性の低い組織のメンバーには下記4つの不安が存在すると言います。
この4つの不安の中でも、特に「助け合い」のはじめの一歩である「相談」を阻みやすいのは「無知だと思われる不安」「無能だと思われる不安」と「邪魔をしていると思われる不安」の3つではないでしょうか。
こうした不安を抱えたままだと、メンバーは「相談したらそんなことも知らないのかと思われるかもしれない」「相談したら使えない部下だと思われて評価が下がるかもしれない」「上司は忙しいだろうから、こんな小さな相談をするのは迷惑かもしれない」などと感じて、相談すればすぐ解決することも必要以上に時間をかけて自分一人で解決しようとしてしまいます。
このままメンバーを心理的安全性が低いまま放置すると、疲弊して望まないメンタル不全や離職を招いたり、生産性が落ちたりと、組織にとって望ましくないことが起きるリスクが高まります。それでは、経営陣や人事、管理職はこうした不安を抱えるメンバーに対して、心理的安全性を高めるためにどのような働きかけができるでしょうか。
無能だと思われる不安、邪魔をしていると思われる不安、無知だと思われる不安の順番で、解消するための具体的な行動のアイデアをお伝えします。
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