コロナ禍により外食産業が打撃を受ける中、出来合いの料理を家などで食べる「中食」の市場が伸びている。
「外食市場調査」(2020年5月〜10月の各月、毎月約1万人回答、リクルートライフスタイル調査)によると、中食市場の規模は前年同期比21.2%増加し、平均単価もあがっている。一方、外食市場は52.5%低下している。
中食のなかでも特に伸びているのは「外食店のテークアウト」で、19年4月と20年4月の利用率を比較すると、20.7ポイント増加(18.7%→39.4%)だ。次いで「外食店の出前・デリバリー」が4.2ポイント増加(5.0%→9.2%)した。一方、総菜関連は厳しく、百貨店の利用は9.2ポイント低下(19.8%→10.6%)した。コンビニエンスストア、スーパーマーケットの利用も減少傾向だ。
リクルートライフスタイルの稲垣昌宏氏(ホットペッパーグルメ外食総研 上席研究員)は3月18日に行ったオンラインセミナーで、これらを受けて「外食店舗の価値を家で楽しむ“イエナカ外食”が進む」と説明。
消費者はコロナ禍により「在宅でちょっとぜいたくなご飯を食べたい」と考えるようになった。また、サプライヤーにとって中食はこれまで“補完”の役割だったが、提供方法の進化により「中食が売り上げの柱になる」(稲垣氏)というケースも出てきた。稲垣氏はアフターコロナにおいても「高単価で家で食べるという市場は一定程度定着するだろう」と話す。
稲垣氏によると、食事に関する消費行動の中で「最も変わったことは、食事をする相手」だという。コロナ禍の変化によるダメージを減らすためには、家族での時間が増えたことを意識して「飲酒主体ではなく、食事主体にすること」「宴会用や接待用だけではなく、ファミリー用のメニューを充実させること」が重要だと解説した。
長引くコロナ禍で苦境の飲食サービス業だが、家の中で豪華な食事をするという新しいニーズも生まれている。対応の可否が、今後の明暗を分けるかもしれない。
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