本記事は『人事実務』(2021年3月号)特集「70歳雇用に向けて」より「事例3 USEN-NEXT HOLDINGS」を一部抜粋、要約して掲載したものです。当該号の詳細はこちらからご覧いただけます。
USEN-NEXT HOLDINGSは有線放送最大手のUSEN、映像配信大手のU-NEXTなどを傘下に持ち、現在USEN-NEXT GROUP全体として、店舗サービス事業、通信事業、業務用システム事業、コンテンツ配信事業、エネルギー事業の5つのセグメントで幅広い事業を展開している。
●株式会社 USEN-NEXT HOLDINGS
●設立:2009年2月
●資本金:9,563万円(2020年8月31日時点)
●従業員数:213人<連結:4,845人>(2020年8月31日時点)
●事業内容:グループ会社の経営管理など、事業セグメント(店舗サービス事業、
通信事業、業務用システム事業、コンテンツ配信事業、エネルギー事業)
●本社:東京都品川区上大崎3-1-1目黒セントラルスクエア
同社では2019年より定年を70歳に延長する新制度を導入。それ以前は、60歳で定年を迎えた後、希望者は「契約社員」として1年ごとに契約更新を行い、最長65歳まで働けるというごく一般的な再雇用制度であった。ただし、以前から年齢に関係なく社員が活躍できるようにしたいとの思いはずっと持っていたという。
そんなときに、たまたま同社の住谷猛氏(執行役員 コーポレート統括部長)の部署に、60歳定年を迎えて再雇用となる社員が出て、その人と再雇用前に本音で話す機会があった。
「すると、『率直に申し上げるなら、モチベーションが少し落ちかけています』と言うんです。要は、60歳定年といわれて、制度上給料もある程度ディスカウントされるし、身分も契約社員に変更となってあと5年の勤務といわれると、どうも意欲がわいてきにくいと。それを聞いて、ならば60歳定年でなくても、また、働き方も契約社員でなくてもいいのではないかと考えたのが、定年延長の一つのきっかけになりました」
そこで2018年ごろから定年制度見直しの検討を始めて、最終的に定年を延長し、70歳まで正社員で働けるようにする現行の制度を導入することにした。これにより、働く側のモチベーションの低下を防ぎつつ優秀な人材をつなぎ止められるため、「経営として合理的」と判断したのである。また、ちょうど当時は政府内でも70歳までの就業機会の確保について、法的検討の動きが出ていたころでもあり、社会的な流れともマッチするという点も、決断を後押ししたという。
この制度の導入を決める際には、定年を廃止するという案も検討された。ただ現状の人員構成など同社の現状に最も合う形を考えた結果、当面は70歳定年の形を取ることにした。
もう一つ議論となったのが、定年延長もしくは定年をなくしてしまうと、人件費が上昇してしまうのではないかという点だった。
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