だらっと横にしてもいいのに、なぜコクヨはビジネスリュックを「立たせた」のか水曜インタビュー劇場(観察公演)(2/5 ページ)

» 2021年03月31日 08時05分 公開
[土肥義則ITmedia]

オフィスを持ち出す

土肥: コクヨは2021年2月に、テレワーク時代を見据えたブランド「THIRD FIELD(サードフィールド)」の先行販売をスタートさせました。“オフィスを持ち出す”ことにチカラを入れていて、PCバッグやモバイルツール用のポーチなどを展開しているわけですが、その中で個人的に気になったのは「スタンドバックパック」なんですよね。

コクヨの新ブランド「THIRD FIELD(サードフィールド)」

 上段の収納部には仕切りが付いているので、「ここにスマートフォンを置いて。ここにはPCのアダプターを……」といった感じで、整理整頓ができる。使用頻度が低いモノは、下部の収納部に入れることができるんですよね。折り畳み傘や水筒などを入れておくと便利かもしれません。

 上下2層構造になっているので、「バッグの底に荷物がたまって困るよ」といった事態を防ぐこともできますよね。個人的な話をすると、ワタシは某メーカーのトートバッグを使っているのですが、万が一のことを考えて風邪薬を持ち歩いているんです。内側のポケットに入れているのですが、振動などによって、いつの間にか底にあることも。また、居酒屋の生ビール無料券がころがっていることも(笑)。

 あと、厚みは10センチほどしかないので、パッと見て「薄いなあ」と感じました。ペラペラとしゃべってきましたが、最大の特徴は何といっても「立てられる」こと。一般的なリュックのフロントポケットにあたる部分を「すーっと」引き出せば、カバンが立つわけですが、なぜこのような商品を開発したのでしょうか?

上段の収納部には仕切りが付いている

伴:  もともと「バッグを開発しなければいけない」といった考えからスタートしたのではなく、ビジネスパーソンの働き方に着目しました。個人的は話になりますが、私が入社した当時(15年ほど前)、自分の荷物は、机の横にあるロッカーに置いていました。帰宅する際に、ロッカーから荷物を取り出して、カギを閉めるといった感じで。

 しかし、数年前、会社がフリーアドレスを導入したんですよね。個人専用のデスクはなく、自由に席を選んで仕事をするわけですが、荷物はちょっと離れたところにあるロッカーに入れなければいけません。仕事をしているときに「あっ、カバンの中に書類を忘れた」となれば、ロッカーまで足を運ばなければいけません。

 そうした行動は「面倒だなあ」と感じる人が多く、カバンを床に置いているケースが増えてきました。リュックの場合、だらしなく横たわっていて、机の上はガジェット類などが散乱している。そうした働き方を見ていて、「カバンはロッカーの引き出しのような役割になっているのではないか」と考えたんですよね。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.